研究課題/領域番号 |
13J00902
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
千葉 優作 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(PD)
|
キーワード | 小林双曲的埋込み / モンジュ・アンペールカレント / 多重複素グリーン関数 |
研究実績の概要 |
平成25年度は三次元複素射影空間の二次曲面、三次曲面の中の曲線で、その補集合が小林双曲的に埋め込まれているようなものの特徴付を示した。この特徴付は、曲線の数値的性質だけで与えられており、具体的にこのような曲線を構成することは難しくない。この研究により小林双曲性と標準束の正値性との関連があることへの理由付けの一つを提示できたと思われる。既存の研究では次数の大きい曲面や次数ゼロの曲面、つまり二次元複素射影空間しか研究されていなかったのでこの研究はそれらの中間の次数を持つ曲面を研究したという点で新しいと言える。またこの研究は、複素射影空間から次数の大きい超曲面を除いたら小林双曲的に埋め込まれているという小林予想の正しさを裏付けしている。 ほかにも25年度の研究として多重複素グリーン関数の研究を行い、モンジュ・アンペールカレントの台と多重複素グリーン関数のレベル集合のシロフ境界との関連を示した。正則曲線の研究には小林擬距離と呼ばれるものが重要であり、多重複素グリーン関数やモンジュ・アンペールカレントは小林擬距離と深い関連がある。そのことから今後この研究が、正則曲線の研究に役立てていけるのではないかと期待している。また多重複素グリーン関数やモンジュ・アンペールカレントは領域の擬凸性や複素幾何といった数学の様々な分野に応用を持ち興味深いものである。そのため今研究により、正則曲線の理論とほかの分野との新しい接点を見つけることができると思われる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二次曲面、三次曲面における小林予想の類似を充分考察できたため。
|
今後の研究の推進方策 |
モンジュ・アンペールカレントや多重複素グリーン関数といった平成25年度のはじめの段階では予期していなかった研究対象が、正則曲線との関連を持つことがわかったため、今後もそれらを研究して、新しい研究手法を確立したい。
|