研究課題/領域番号 |
13J00915
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岸 竜弘 早稲田大学, 創造理工学部, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ヒューマノイドロボット / ヒューマンロボットインタラクション / ロボットアーム / ロボットハンド / 笑い誘発 / くすぐり |
研究実績の概要 |
本研究では,ロボットの動作と人間に与える印象の関係をモデル化し,これを表現する2足ヒューマノイドロボットに全身での高い表現力および多感覚機能を実装することで,外界からの刺激に応じ,ロボットに意図した印象を人間に与える動作を生成させることを目的としている.特に,モデル化されたロボットの動作の評価指標として,昨年度から人間の笑い誘発に注目して研究を進めてきた.第二年度目である平成26年度には,以下の2点について研究を推進した.
1. 高速度・広可動範囲を持つロボット腕部の開発 笑い誘発動作に必要なロボット腕部の要求仕様を求めるため,お笑い芸人の芸における腕部の動作を解析し必要な速度・加速度を計測した.フレキシブルシャフトの適用による腕部末端の軽量化,2つのモータで1つの関節を動作させる機構の導入により,これらの要求仕様を満たすロボット腕部を開発した.印象評価実験から,開発されたハードウェアによる大げさな動作の人間の笑い誘発への有効性が確認された. 2. 触覚刺激によって人間の笑いを誘発する1自由度ロボットハンドの開発 ロボットの全身動作による視覚刺激だけでなく,マルチモーダルな刺激を複合的に用いてインタラクション中に人間の笑いを誘発するロボットの実現を目指し,くすぐりによる触覚刺激により人間の笑いを誘発するロボットを開発した.人間の「脇の下への揉み動作」を解析,これを再現するハードウェアを開発した.評価実験の結果,製作したロボットハンドのくすぐりにより人間の笑いが誘発されたことを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請時,平成26年度はロボット腕部の可動速度・可動範囲の向上による表現力の上昇,およびロボットの動作のモデル化による笑い誘発のための動作の生成を予定していた.実際にヒューマノイドとして標準的な性能を持つ旧機体に比べ10倍以上高速に動作し,人間の各関節の可動角を上回るロボット腕部を開発,ロボットの全身動作の笑い誘発への有効性を大幅に上昇させた.さらに,「誇張」の方略を用い,開発したハードウェアを極端に速く・大きく動作させると動作の印象は有意に面白く変化することが確認され,動作のモデルを用いた笑い誘発動作の生成を実現させた.さらに,ヒューマノイドによる視覚・聴覚刺激に加えくすぐりロボットを開発,この触覚刺激によっても人間の笑い誘発を実現させた.
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今後の研究の推進方策 |
一点目に,ロボットのハードウェアの改良による表現力の向上がある.本年度のロボットの腕部の表現力の向上に続き,最終年度ではロボットの全身での表現力をさらに向上させるため,高速な腕部の動作を優先させるために未だ開発されていなかった軽量かつ高速・高可動域を持つ手首・手を開発,手先までを含んだロボットの全身表現を実現させる. 二点目に,ロボットの動作のモデル化・多感覚を利用したロボットの動作生成がある.ロボットが意図した印象を人間に与える動作生成への取り組みとして,本年度に引き続きロボットによる人間の笑い誘発に取り組む.特に,ロボットのキャラ動作をモデル化,感覚機能への入力に対するキャラ表現を伴ったリアクション動作を実現させる.
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備考 |
現在,2014年度の研究内容をホームページに反映させる更新作業中です
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