研究課題/領域番号 |
13J00927
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山置 佑大 京都大学, エネルギー科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | グアニン四重鎖 / リボザイム / RNAアプタマー / カリウムイオン / 分子設計 |
研究概要 |
生体内においてカリウムイオン濃度は細胞外では約5mM、細胞では約100mMに保たれている。したがってカリウムイオン濃度を感知し、活性を切り替えることが出来る機能性核酸の創製は細胞の内と外での活性スイッチングを可能とし、医療用アプリケーションや様々な分子ツールへの応用が期待できる。これまでに我々はr(GGAGGAGGAGG)配列をもつRNA(R11)が、カリウムイオン存在下ではコンパクトな四重鎖構造を形成することを示した。さらにR11のこの構造変化を利用してカリウムイオン依存的に活性のON/OFFを制御可能な人工機能性核酸を開発するために、R11の配列でハンマーヘッド型リボザイムの配列の一部を置換した四重鎖リボザイム(QHR)を構築した。本年度は細胞の内外における自律的活性スイッチングの達成に向けて、QHRについてin vitroにおける諸性質の評価および改良を行った。カリウムイオン非存在下におけるQHRの活性をさらに抑制するために、カリウムイオン非存在下でQHRと相補的に二重鎖を形成し、カリウムイオン存在下では自身も分子内四重鎖を形成してQHRと解離することが可能なDNA(QCS)を設計した。KC1濃度0及び100mM条件における活性の差はこれまで2.3倍にとどまっていたが、QCSによるカリウムイオン非存在下における活性抑制の結果、これを16倍まで拡大することに成功した。さらに50%のQHR-QCSが活性化するカリウムイオン濃度は23mM KC1であり、QHR-QCSは細胞内外でのスイッチングに適したカリウムイオン感受性を有していた。また、QHR-QCSはナトリウムイオン存在下ではほとんど活性化は見られずカリウムイオンでのみ活性化されることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
QHRがカリウムイオン非存在下で残存活性を示すことが問題となっており、その抑制が課題となっていた。今回四重鎖を形成する性質を有する相補鎖を導入する事によって、この課題を克服することに成功した。これによってカリウムによる活性の増強幅を格段に上昇させる事に成功した。またナトリウムイオンでは活性がオンにはならない事、QHRの活性化のカリウムイオン濃度依存性を確認し、本系が細胞における応用に適している事を示した。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞を用いた細胞内におけるQHRの活性評価のため、GFPレポータ一分子とした細胞内のリボザイム活性評価の系を構築する。また、細胞内でのQHRの構造情報を取得するためにin-cell NMR法による細胞内でのQHRの構造解析を行う。そのための細胞内への核酸大量導入方法の検討を進める。
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