研究課題/領域番号 |
13J00961
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
木村 純平 北海道大学, 獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 慢性腎臓病 / 自己免疫疾患 / 自然免疫 / Toll様受容体(TLR) / ポドサイト / BXSB/MpJマウス / イヌ / 糸球体腎炎 |
研究実績の概要 |
2014年度は、前年度に引き続き慢性糸球体腎炎モデルマウスにおけるポドサイト傷害の分子病理を精査と臨床サンプルの解析を行い、以下の成果を得た。 ①慢性糸球体腎炎モデルマウスであるBXSB/MpJ-Yaaマウスにおいて、Toll-like receptor(TLR)ファミリー、特にTLR8がポドサイトに高発現することを明らかとした。また、その他の慢性糸球体腎炎モデルマウスにおいても、糸球体においてTLR8が高発現していることを見出した。さらに、これら慢性糸球体腎炎モデルマウスにおいて、血清および糸球体中のTLR8の内因性リガンド、また尿中のTlr8 mRNAが高レベルに検出されることを明らかとした。 ②臨床サンプル(イヌ)の解析の結果、健常イヌの腎臓において、Tlr8 mRNAが検出された。抗TLR8抗体を用いた免疫染色の結果、健常イヌの腎臓において、免疫陽性反応は足細胞領域に限局した。慢性腎臓病と診断されたイヌの腎臓では、糸球体肥大、糸球体総核数の増加、メサンギウム基質の増生、および糸球体基底膜の肥厚が認められ、明瞭な糸球体腎炎像を呈した。本症例において、TLR8陽性反応は足細胞領域に局在し、その陽性強度は健常イヌのそれに比べて強かった。以上のことから、イヌの腎臓においてTLR8は糸球体、特に足細胞特異的に発現し、その発現は糸球体傷害時に増加する可能性が示された。 以上より、TLR8は慢性糸球体腎炎におけるポドサイト傷害の早期診断ならびに治療法の開発に有用な標的分子になる可能性が示された。今後、さらなる基礎研究と臨床サンプルの解析を行い、人獣共通疾患としての慢性腎臓病制圧のための適切な方法論確立を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の成果により、Toll-like receptor(TLR)ファミリー、特にTLR8を介したシグナル活性化がポドサイトの病理学的プロセスに関与することを明らかとし、TLR8が慢性腎臓病の新たな診断ならびに治療法開発の標的分子となる可能性を示した。これらの成果は、「慢性腎臓病の制御」という本研究の最終目標につながりうる新知見であり、学術論文として海外学術雑誌において発表したほか、国内外の学術集会で報告し、最優秀口演賞を受賞するなど高い評価を得た。
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今後の研究の推進方策 |
「TLR8の下流因子である炎症性サイトカインとポドサイト傷害との関連」についてより詳細に明らかにするため、さらなる基礎研究、またヒトを含めた臨床サンプルの解析を行い、TLR8シグナルおよびその下流因子を介したポドサイト傷害の診断・治療法開発に向けてのアカデミックエビデンスを得ていく。
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