研究課題/領域番号 |
13J00987
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤本 心太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 無脊椎動物学 / メイオベントス / 系統分類学 / 緩歩動物 |
研究概要 |
本研究は、異クマムシ綱の海産クマムシ類を対象とし、信頼性の高い分子系統樹を構築し、これに筋系走向と神経系走向の網羅的観察を併せて、この二つの内部形態の形質進化の再構築と、これら形質の系統分類学への有用性を検討することを目的としている。平成25年度は、1. 分子系統学的研究と内部形態観察に用いる材料の探索・確保(分類学的研究を含む)を行い、2. 分子系統学的研究を主に行った。以下それぞれについて述べる。 1. 分子系統学的研究と内部形態観察に用いる材料の探索・確保 沖縄県石垣島・沖縄島、和歌山県白浜、千葉県館山から未記載種を含む2目8科12属20種を採集した。このうち、2種(石垣島産のチカクマムシ科Parastygarctus属の一種とウミクマムシ科Florarctus属の一種)が内部形態の観察に適していると判明したので、平成26年度に再採集を試みる。採集した未記載種については、それぞれ新種記載の準備を進めている。平成25年は、そのうちの1種、千葉県館山産のチカクマムシ科Stygarctus ayatori Fujimoto, 2014を新種として発表した。 2. 分子系統学的研究 海産クマムシ類に最適なDNA抽出法の探索、そしてプライマーの探索及び設計を行った。これによって、本研究で行う解析に十分と考えられる長さの塩基配列を得る方法を確立した。現在、採集した海産クマムシ類20種の塩基配列を決定する作業を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度は、採集調査において期待以上の成果(多くの種を確保)を得ることができ、また、内部形態の観察に適した種を見つけることができた。さらに、順調にクマムシの塩基配列データも蓄積している。
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今後の研究の推進方策 |
特に研究遂行に問題はないので、当初の計画通りに研究を進める。内部形態の観察は、適した材料での観察を、分子系統学的研究は、平成26年度中に論文を投稿することを目標にしている。また、採集したクマムシのうち、少なくとも3種は新種として平成26年度中に発表する方針である。
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