研究課題
加齢および閉経による動脈伸展性低下は心血管疾患の独立した危険因子である。昨年度は習慣的な有酸素性運動が動脈伸展性を増大させる機序に抗老化因子Klothoが関与している可能性を示した。動脈伸展性に影響する因子として、動脈の機能面・器質面があり、Klothoはその両者に作用することが示唆されている。そこで、今年度は習慣的な有酸素性運動による動脈伸展性の増大機序に対するKlothoの役割の解明を目的として、<課題1>閉経後中高齢女性における血漿Klotho濃度と血管内皮機能(動脈の機能面)の関係、<課題2>動脈石灰化モデルラットにおける組織Klotho発現と動脈石灰化(動脈の器質面)の関係を検討した。<課題1>血漿Klotho濃度と血管内皮機能の関係を明らかにするために横断的検討を行った。閉経後中高齢女性において、血漿Klotho濃度は血管内皮機能と有意な相関が認められた。さらに、習慣的な有酸素性運動が血管内皮機能および血漿Klotho濃度に与える影響を検討するために、12週間の有酸素性運動トレーニングを行い、介入前後で血管内皮機能および血漿Klotho濃度を評価した。トレーニング後に血管内皮機能の向上および血漿Klotho濃度の増加が認められ、それらの変化量に相関が認められた。したがって、閉経後中高齢女性における習慣的な有酸素性運動による血管内皮機能の向上に血漿Klotho濃度の増加が関与する可能性が示された。<課題2>動脈石灰化モデルラットにおける習慣的な有酸素性運動による動脈石灰化改善時の組織Klotho発現の影響を検討した。しかし、モデル作製時に著しい動脈石灰化が誘導できず、明白な結果が得られなかった。これらの結果から、閉経後中高齢女性における習慣的な有酸素性運動による動脈伸展性増大の機序に血漿Klotho濃度の増加による血管内皮機能の向上が寄与する可能性が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Advances in Exercise and Sports Physiology
巻: 20(3) ページ: 61-66