研究課題
本研究では大質量星の形成過程の解明されていない部分のうち、巨大分子雲内で生じる高密度ガスから大質量星に進化する条件を明らかにするため、巨大分子雲を効率よく観測できる広視野望遠鏡を開発している。大質量星形成の解明には高密度領域の温度や密度、速度分布などを調べることが重要であり、そこをトレースできるサブミリ波・THz波の観測を計画している。今年度の研究計画は1. 幾何光学によって得られた設計解を準光学の手法によって評価する、2. 望遠鏡構造の検討であった。今年度の研究は時間のかかると予想される1. からとりかかり、今年度は広視野の電波望遠鏡の設計・評価手法の確立を優先して行なった。検出器の各素子に対応するビームに対して準光学的な解析を行うのは現実的な時間では終わらず、得策ではない。そこで、必ずしも自明ではなかった幾何光学による評価と準光学による評価の関係を数学的に整理することから始めた。その結果、望遠鏡の光学系の広視野のまま広い周波数帯域を持たせる条件を明確にできた。加えて、幾何光学的な解析から得られる破面の情報から、各素子に対応するビームの能率を計算する手法を確立した。この手法はビームの能率を計算コストの高い準光学的な解析に頼ることなく数%の精度で見積もることができ、設計解を探査する効率を飛躍的に向上させることができた。
3: やや遅れている
平成26年度は光学系の評価に注力し光学設計については今後の研究にとって重要、かつ応用が期待できる結果を得ることができた。一方で、望遠鏡構造の検討はほとんど進まなかったため、やや遅れているとした。
これまでに幾何光学による設計を行ない、準光学的な性能を見積もる手法を確立したので、望遠鏡構造にとっても実現しやすい光学設計解を探す。南極という過酷な環境下での望遠鏡設置を実現するには、望遠鏡構造設計と光学設計を切り離して進めることが難しいとわかったため、平成26年度確立した手法を駆使して両者を有機的に結びつけながら設計を進める。
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IEEE TRANSACTION ON TERAHERTZ AND TECHNOLOGY
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10.1109/TTHZ.2014.2365680
Journal of Astronomical Telescopes, Instruments, and Systems
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