研究課題/領域番号 |
13J01024
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
徳永 透子 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC1)
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キーワード | マグネシウム合金 / 複合材料 / 超塑性 / 機械的性質 / 金属間化合物 |
研究概要 |
当該年度は、アルミニウム被覆付きマグネシウム合金薄板の引張特性の調査およびその変形メカニズムの調査を目的とした。アルミニウム部およびマグネシウム合金部について電子後方散乱回折法(EBSD)を用いて観察・解析を行った。その結果、マグネシウム合金部においては、超塑性変形材料によくみられる、粒界すべりによる集合組織のランダム化が見られた。このことからマグネシウム合金部は引張変形中に粒界すべりによって変形した、と考えられる。アルミニウム部においては複合材の応力ひずみ曲線におけるピーク応力時を境に、(111)極点図において{111}から{101}へ集合組織の変化が見られた。この集合組織の変化は、変形機構の変化または再結晶集合組織の発達および粒の粗大化による結晶方向の淘汰によるものであると考えられる。 また、マグネシウム合金上へのアルミニウム被覆形成のための熱間押出の構造解析シミュレーションを行った。この解析により、押出後のアルミニウム被覆層厚さを均一に制御するための最適な押出条件を導くことができ、さらに感度解析を行うことで、それぞれの押出条件が被覆層厚さの均一性に及ぼす影響を調査することができると考えた。まず、芯材であるマグネシウム合金に対して圧縮試験および逆解析を行い、材料特性を表すモデルを作成した。作成したモデルを用いて実験と同条件で構造解析を行い、被覆層厚さ変化を計算結果と実験結果を比較することで、モデルの有効性を検討した。この結果、実験結果とほぼ近い結果を計算によって得ることができ、今回作成したモデルで実験を模擬することができるということが実証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、「熱間押出法による被覆形成の汎用性の向上」および「金属間化合物層の生成および成長の抑制」である。本年度において、熱間押出の構造解析を研究計画通りに開始し、来年度には結論付けることができると考えている。また、 金属間化合物層に関しても、EBSD解析のためのマテリアルファイルが完成すれば、この金属間化合物層に関する研究は速やかに進展すると考えている。以上のことより、本研究は現段階でおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き熱間押出の構造解析を行い、均一厚さの被覆を得るための押出条件の最適化および各押出条件の感度解析を行う。また、本年度は、マテリアルファイルの不足めため研究実施計画で述べていた金属間化合物層のEBSD解析を行うことができなかった。現在新たにマテリアルファイルを作成中であり、来年度には金属間化合物層のマテリアルファイルを完成させ、金属間化合物層の引張変形中の変形機構を調査する。
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