研究課題/領域番号 |
13J01024
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
德永 透子 北海道大学, 工学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マグネシウム合金 / 複合材料 / 超塑性 / 機械的性質 / 金属間化合物 |
研究実績の概要 |
当該年度は、マグネシウム合金上へアルミニウム被覆を形成するための熱間押出加工プロセスの構造解析シミュレーションを行い、均一厚さの被覆が得られる条件でのコンテナ内部での金属流動を調査した。その結果、均一厚さの被覆層を得るためには、ダイス表面に沿った方向への流れは抑制されるべきであるということを明らかにした。 また、様々な押出条件下での被覆層厚さを調査し、感度解析を行うことで押出パラメータがアルミニウム平均被覆層厚さおよび被覆層厚さの均一性に及ぼす影響を調査した。本研究では、影響を調査する押出パラメータとして、皮材の初期板厚、押出温度、ラム速度、ダイス角度、芯材と皮材の強度比の5つを選択した。感度解析の結果から、皮材の初期板厚が平均被覆層厚さに対して最も支配的であり、一方ダイス角度が被覆層厚さの均一性に対して最も支配的なパラメータであることを明らかにした。また、平均被覆層厚さと被覆層厚さの均一性両方に対して、被覆材の初期板厚およびダイス角度の2つのパラメータが支配的であり、残りの押出パラメータである押出温度、ラム速度、芯材と被覆材の強度比はあまり大きな影響を被覆層厚さの性質に及ぼさないということがわかった。そこで、皮材の初期板厚およびダイス角度の2つの押出パラメータにのみ着目し、それらが被覆層厚さの性質に及ぼす複合的な影響を空間的補間手法であるクリギングを行い、調査した。平均被覆層厚さに対しては、初期板厚さが薄いほど、またダイス角度が大きいほど、被覆層厚さは薄くなり、初期板厚さが大きいほど、ダイス角度が小さいほどその傾向が大きいということが明らかとなった。一方、被覆層厚さの均一性に対しては、ダイス角度が大きいほど、初期板厚が薄いほど、被覆層厚さは均一になるという結果が得られた。また、その傾向は初期板厚さが大きいほど、ダイス角度が小さいほど大きいということが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、「熱間押出法による被覆形成の汎用性の向上」および「金属間化合物層の生成および成長の抑制」である。本年度において、熱間押出の構造解析および感度解析を研究計画通りに実施し、熱間押出法による被覆形成の過程において重要な条件パラメータを特定した。また、金属間化合物層に関しても、来年度EBSD解析のためのマテリアルファイルが完成すれば、この金属間化合物層に関する研究は速やかに進展すると考えている。以上のことより、本研究は現段階でおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、構造解析シミュレーションにおいて、想定していた以上の成果が得られたため、シミュレーションに加え、感度解析およびクリギングによるデータの整理を優先させて研究を行った。したがって、当初予定していた高ひずみ速度鍛造による薄板の作製は達成されておらず、現在装置の設計を行っている段階である。来年度に高ひずみ速度鍛造を実施し、薄板を作製する予定である。また、来年度は現在作成中であるEBSD解析のためのマテリアルファイルを完成させ、金属間化合物層に対して解析を行うことで高温中での詳細な変形挙動を明らかにする。
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