研究課題
「研究目的」C型肝炎研究の障害の一つとして適切な感染モデルがないことが挙げられる。本研究ではこのブレイクスルーを目標として、新世界ザル指向性HCV/GBVBキメラウイルスの構築を目指している。「研究実施状況」1. HCVE1、E2発現レンチイルスベクターを用いたシュードタイプウイルスの作製ウイルスが細胞へ吸着・侵入する際に重要となるエンベロープタンパク(E1, E2)の宿主特異性を定量的に評価するために、HCVのE1, E2タンパクを発現するシュードタイプウイルス(HCVpp)の作製を試みたところ、ELISAおよびウェスタンブ白ッティングにて確認できた。さらにヒト肝細胞株へHCVppを感染させたところ、感染成立をフローサイトメトリーにて確認できた。2. GBV-B/HCVキメラウイルス感染実験(in vivo)in vivoでのプレリミナリーなキメラウイルス感染実験として、GBV-B/HCVキメラウイルスをコモンマーモセットに感染させた。ウイルスは感染後1週間後から検出され始め、現在もフォローアップを続けている。3. CD8抗体によるコモンマーモセットCD8T細胞depletion実験ウイルスに対する宿主免疫を抑制する方法を確立するため、CD8抗体によるCD8T細胞depletionの方法を確立した。この方法により宿主の免疫を抑制することができ、今後のin vivoキメラウイルス感染実験に非常に有効な手段となることが予想させる。なお、この成果はImmunology lettersに誌上発表されている。
2: おおむね順調に進展している
GBV-B/HCVキメラウイルスの感染実験により、ウイルスの吸着・侵入に重要であるE1, E2がHCV由来でもin vivoでマーモセットに感染できることがわかったため、感染モデルの構築に非常に重要な手掛かりとなった。しかし持続的な感染および慢性化へはさらなる改良が必要である。
HCVのE1, E2を用いたキメラウイルヌのin vivo感染実験により、キメラウイルスを持続的および慢性的に感染させるにはさらなる改良が必要であることが判明した。そのためキメラウイルスの組み合わせを改編させ、宿主側の免疫を抑制するためにCD8 depletionを行うことも視野に入れている。また、GBV-Bppの作製を行い、HCVppと共にヒト細胞およびサル細胞への感染効率を評価する。これにより、よりクリアにウイルスの吸着・侵入効率を定量的に測定することができるようになる。この際に様々な宿主の様々な種類の細胞への感染性を評価することで、これまで明らかになっていなかったGBVBのウイルスレセプターに関する情報なども得ることができる。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
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http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/sections/chemr/akari-lab/pg157.html