研究課題
固体NMRによる蛋白質の構造解析において距離情報を正確に得るためには高感度・高分解能なスペクトルが必要であり、且つそこから得られた情報を正しく解析する必要がある。アミロイド線維の固体NMRスペクトルは、線維が高分子量複合体であることや不均一であることから、信号の分散が悪い。特にb2ミクログロブリン(b2m)はアミノ酸残基数も多く信号帰属が非常に困難であり、未だ、すべてのアミノ酸残基に対する信号帰属の報告はない。そこで、本研究では信号の重なりを緩和させるためにNMRで検出可能な同位体ラベルを部位特異的に減らしたリバースラベル蛋白質やスパースラベル蛋白質を用いた方法やコンピューターを用いた帰属計算、より確実な分子間距離情報が得られる手法やなどを用いて構造解析をおこなっている。本年度は複雑に重なり合った信号を希釈するために1,3-13Cと2-13Cグリセロールをそれぞれ用いてラベルしたb2mの発現・精製とその線維のNMR測定をおこなった。現時点では、解析に必要なスペクトルがすべて取得できていないが、非常に分解のいいスペクトルが得られている。また、コンピューター計算の方法として昨年度おこなったRESPLUS法に加え、ssFLYA法も取り入れ、より信頼性のある帰属計算をおこなった。それぞれの結果から得られた化学シフト値をもとにおこなった二次構造予測の結果は同じ傾向にあり、どちらの方法も信頼性のある結果であることを示唆する結果となった。b2m線維は予想以上に複雑なスペクトルを示し、スペクトル解析が非常に困難であった。また、本年度は装置の更新や不具合により測定が思うように進まなかったこともあり、立体構造計算をするまでには至らなかったが、信号帰属のために用いた種々の方法により立体構造を決定のために非常に重要な結果が得られた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biochimica et Biophysica Acta
巻: 1854 ページ: 209-217
10.1016/j.bbapap.2014.12.014
The Journal of Biological Chemistry
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http://www.protein.osaka-u.ac.jp/physical/research.html
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