• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

感情労働におけるストレスの生理学的検討

研究課題

研究課題/領域番号 13J01083
研究機関同志社大学

研究代表者

中川 紗江  同志社大学, 心理学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード感情労働 / 感情的不協和 / 心臓血管系反応 / ロールプレイ
研究概要

申請者は, 感情労働によって喚起される即時的な心臓血管系反応の賦活が, 労働という日常的な枠組みの中で慢性化することにより抑うつやバーンアウトなどの有害な症候に繋がると考えており, 本研究では, 感情労働によって喚起される生理反応パターンおよびその持続性を, ロールプレイ実験などを通して明らかにすることを目的としている。
平成25年度の研究実績の概要としては, 2013年4月~6月に, ロールプレイ技法を用いて感情労働が生理反応に及ぼす影響を検討するための実験を実施した。実験手続きとしては, ファーストフード店内における店員と顧客の会話を想定したシナリオを用意し, 実験参加者に店員役を演じさせる間の生理反応の測定を行った。顧客役は実験協力者が演じた。生理指標としては, 収縮期血圧・拡張期血圧および心拍率を測定した。主観指標としては, 一般感情尺度および独自で作成した感情的不協和質問紙を用い, 同時に, ロールプレイ中の表情を録画した。また, 本実験では, 顧客役からクレームを受ける群において感情的不協和が生じると仮定し, 実験参加者をクレームあり群とクレームなし群に無作為に振り分けた。その結果, クレームあり群において感情的不協和が適切に喚起され, 拡張期血圧がクレームなし群に比べて有意に高かった。したがって, 感情的不協和によって, 心臓血管系反応のパターンII型が喚起される可能性が示唆された。パターンII反応は不適応な生理反応の指標と考えられるため, この知見は, 感情労働におけるストレスを生理学的に検討する上で非常に重要性が高いと考えられる。なお, この研究結果は2013年9月の国内学会において発表した。
また, 2013年8月にはアメリカのバークレーで開催された国際学会において, 前年度の研究に関するポスター発表も行った。さらに, 2014年2月には, 国内学会誌において論文が一本受理され, 現在インターネット上で早期公開中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

飲食店内を模したロールプレイによって感情労働場面を再現し, 感情労働によって喚起される生理反応パターンが不適応な生理反応の指標とされる心臓血管系反応のパターンII反応に類似する可能性を示唆できたため。

今後の研究の推進方策

これまでは, 対面での感情労働が生理反応に及ぼす影響を検討してきたが, 今後は対面しない形での感情労動が生理反応に及ぼす影響についても検討を行いたいと考えており, コールセンターシミュレーションを用いた実験を新たに実施する。また, 従業員の持つどのような性格特性が感情労働とストレスの間を媒介するかを明らかにするための調査研究も同時に行う。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 主観的な感情と要求される表情表出の違いが生理反応に及ぼす影響 生理心理学と精神生理学2014

    • 著者名/発表者名
      中川紗江, 鈴木直人
    • 雑誌名

      生理心理学と精神生理学

      巻: 31巻(掲載確定)

    • DOI

      10.5674/jjppp.1308oa

    • 査読あり
  • [学会発表] 感情労働のシミュレーションが生理反応に及ぼす影響-ロールプレイ技法を用いて-2013

    • 著者名/発表者名
      中川紗江, 鈴木直人
    • 学会等名
      日本心理学会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンターほか(北海道札幌市)
    • 年月日
      20130919-21
  • [学会発表] The effect of emotional dissonance of emotional labor role-playing on physiological responses.2013

    • 著者名/発表者名
      Sae NAKAGAWA, Naoto SUZUKI
    • 学会等名
      International Society for Research on Emotion
    • 発表場所
      Berkeley Univ., San Francisco
    • 年月日
      20130803-05

URL: 

公開日: 2015-07-15  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi