研究課題
今年度は主に道代数上の傾加群のなす半順序集合に関する研究を行った。有限次元代数の表現論において傾加群の分類が重要な問題であるが、そのためのアプローチとして導入された傾変異の理論とこの半順序集合の間には密接な関係がある事がよく知られている。しかしながら一般的に傾加群のなす半順序集合の全体構造の解析は極めて困難であることが知られている。そこで私は道代数上の前射影的な傾加群のなす部分半順序集合について研究した。まず比較的緩やかな条件のもとで2つの直既約な前射影加群の間のExt群が消えるための必要十分条件を、道代数を定める箙(クイバー、有向グラフ)の組み合わせ論的情報のみから定めた関数を用いて明示的に与えた。この結果によってある条件のもとでは道代数上の前射影傾加群のなす半順序集合が整数格子上に実現される無限分配束となる事が得られた。そこで与えられた無限分配束がいつ道代数上の前射影傾加群のなす半順序集合として実現されるかは自然な疑問である。私はAuslander Reiten移動により引きおこされる、前射影傾加群のなす半順序集合上の自己入射に注目し、無限分配束Lが前射影傾加群のなす半順序集合として表せることとLがある性質をみたす自己入射をもつことが同値であることを示した。またこの場合に、前射影傾加群のなす半順序集合がLと同型となるような道代数をLの組み合わせ論的情報から具体的に構成出来ること(つまり代数を定める箙が構成出来ること)を示した。
(抄録なし)
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Communications in Algebra
巻: (印刷中)
10.1080/00927872.2013.811247
Tsukuba Journal of Mathematics
巻: VOL.37(1) ページ: 153-177