研究課題/領域番号 |
13J01166
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坊野 慎治 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 液晶 / ソフトマター / 液晶ナノエマルション / DDS |
研究概要 |
今年度は次の2点に着目し研究を行った。 1、液晶ナノエマルションからの色素分子放出に対する液晶秩序が駆動する力の効果 : 液晶秩序に駆動された力が色素分子をエマルション外へ放出しているのかどうかに着目して研究を行った。2成分混合液晶をコア中に導入することで、混合液晶の混合比を新しい自由度として液晶ナノエマルションコアの液晶秩序と液晶相転移温度を調整できないかと考えた。そしてコア中の液晶の相転移温度と色素分子がエマルション外へ放出される温度を、偏光解消静的光散乱実験と透過光スペクトル測定によりそれぞれ見積もった。得られた色索分子放出温度はコア中の混合液晶の液晶相転移温度と強い相関があることが明らかになった。この結果は液晶秩序が色素分子を放出する力を駆動していることを示唆する結果である。 2、マイクロメートルスケールにおける液晶秩序に誘起された色素分子放出現象 : 色素放出現象を直接的に確認するために、サイズが数100マイクロメートル程度の液晶マイクロエマルションを作成し、このエマルション内外における色素分子の輸送現象について研究を行った。液晶マイクロエマルションはマイクロ流路を用いて、色素分子水溶液中に液晶を分散させて作成した。得られた液晶マイクロエマルションについて顕微鏡観察により色素放出現象を観察した結果、ナノエマルションと同様の結果を得た。この結果は液晶秩序に駆動された色素放出現象がナノメートルからマイクロメートルにわたる広いスケールで成り立つことを示唆する結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はエマルションコアの液晶秩序と色素分子のエマルション外への放出の関係を明らかにすることを目的として研究を行った。そして色素分子放出温度が液晶相転移温度と強い相関があることが明らかになった。これは液晶秩序が色素分子を放出する力を駆動していることを示唆する結果であり、計画通りの発展である。
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今後の研究の推進方策 |
異なる液晶を閉じ込めた2種類の液晶ナノエマルションを混合し、各エマルションコア間の液晶の混合過程を測定する予定である。混合過程を測定するためにコアの液晶の相転移挙動に着目する。この結果からエマルションコアの液晶及びエマルションシェルの両親媒性高分子の運動性について研究を行う予定である。さらに、より高次の液晶相をコアに導入した液晶ナノエマルションについても研究を行い、液晶相によるコアの運動性の変化についても研究を行う予定である。
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