研究課題
本研究は、ペスチウイルスの病原性発現の分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。平成27年度は以下の研究を実施した。I. ウイルスの複製に関与するウイルス蛋白と宿主因子の検索および同定 豚コレラウイルスの病原性発現に関与する非構造蛋白NS4BのN末端領域に認めた両親媒性ヘリックスのゲノム複製における役割を調べた。まず、非構造蛋白NS4BのN末端領域の二次構造をコンピュータソフトを用いて予測した。その成績を基に細胞内膜への親和性を膜分画アッセイおよび共焦点レーザー顕微鏡にて解析し、非構造蛋白NS4Bの細胞内膜への親和性に関与するアミノ酸部位を同定した。さらに、リバースジェネティクス法にて作出したレプリコンおよびウイルスを用いて両親媒性のヘリックス構造のウイルス感染環における役割を解析した。その結果、NS4BのN末端領域に認めた両親媒性のヘリックスはウイルスのゲノム複製およびその増殖に必須の構造であることがわかった。次に、非構造蛋白NS4Bと相互作用する蛋白質を哺乳動物ツーハイブリッド法にて検索した。その結果、NS4B蛋白のC末端領域とNS5A蛋白は相互作用することが明らかになった。II. ウイルスの宿主指向性に関与する宿主因子の検索および同定 これまでに同じペスチウイルス属の牛ウイルス性下痢ウイルスは、宿主細胞のCD46およびLDLをレセプターとして細胞への侵入の際に利用することが明らかにされている。ブタのCD46と結合すると考えられる領域の近傍に、これまでに同定した豚コレラウイルスの病原性発現に関与するE2分子上のアミノ酸部位が存在した。本年度は、CD46が豚コレラウイルスの宿主指向性を規定する因子であるかを検するため、CRISPR-Cas9システムを用いてCD46を欠損した細胞を樹立することとした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of General Virology
巻: 96 ページ: 2623-2635
10.1099/vir.0.000200