研究課題/領域番号 |
13J01221
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
浮田 卓也 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | トポロジー / 4次元多様体 / エキゾチック微分構造 / Stein曲面 / Lefschetz fibration / 写像類群 |
研究実績の概要 |
平成26年度には「与えられたStein曲面からファイバーの種数が小さなPALF(positive allowable Lefschetz fibration)の構造を得る新しい方法を構成し、その構成法を用いてStein構造を写像類群の言葉で書けるようにする事」を目的にして無限個のエキゾチックなStein曲面のペアに対して種数が0のPALF構造を構成した。その結果、エキゾチックなStein曲面の違いをより単純な写像類群の元の形で表すことができた。 この研究では平成25年度の研究を踏まえ、さらにPALF構造の構成の方法をKirby図式を用いて工夫することでより単純なPALF構造を構成することに成功した。具体的にはエキゾチックなStein曲面をKirby図式で表し、2ハンドルを表すlinkの交差ができるだけ少なくなるようにハンドルスライドなどの操作を行った。さらにキャンセリングペアの生成を上手く使うことでレギュラーファイバーの種数を増やすことなくPALF構造を構成することができた。 この研究で得られたPALF構造はLoi-PiergalliniやAkbulut-Ozbagci、Akabulut-Arikanの方法で作られたPALF構造よりも大幅に単純になっている。そのため、対応する写像類群の元も単純でわかりやすいもになっている。Akbulut-OzbagciやAkbulut-Arikanによる従来のPALF構造の構成方法では多くのHopf band を用いるため、出来上がるPALF構造のファイバーの種数は大きく、対応する写像類群の元も複雑になってしまう。本研究ではKirby計算によってPALF構造を構成するため、ファイバーの種数を小さくする工夫を行える自由度が高い。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度にはStein曲面の一種であるAkbulut corkに対して種数0のPALF構造を構成した。 平成26年度にはAkbulut corkを用いたcork twistによって移りあうエキゾチックなStein曲面の組に対して種数0のPALF構造を決定し、cork twistによる微分構造の変化を写像類群の言葉で表すことができた。従来の構成法でPALF構造を構成するとファイバーの種数の非常に大きいPALF構造しか作れないのに対し、このPALF構造の構成法では種数0という最良の結果が得られた。以上のように本研究はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究については平成25年度、26年度の研究を踏まえて一般のStein曲面のKirby図式をいくつかのパターンに分けて調べることで、任意のStein曲面に対してファイバーの種数の小さなPALF構造を作る構成法をつくりたい。またStein構造を保ちながらPALF構造を構成することができるかを調べていく。
|