研究課題
本研究では、人獣共通感染症である狂犬病のコントロールを目的とし、その撲滅のための戦略について検討を行なうべく研究を行った。狂犬病蔓延国であるフィリピン共和国(フィリピン)を対象地域として狂犬病ウイルスの伝播動態解明を行った。フィリピンのルソン島内における地理的伝播について、地形遺伝子学に詳しいUniversity of GlasgowのDr. Roman Biekの協力を得て研究を行った。景観遺伝学的手法を用い、ウイルスの地理的伝播に寄与する因子を、地形(標高勾配/河川・湖/植生)・ヒトコミュニティ(人口密度/道路密度)・狂犬病対策活動(地方自治体における年間支出額/小学校数)の3種類のデータから探索・評価した。解析には、ウイルス遺伝的距離と検体採取地間コスト距離を用いたマンテル検定(距離行列の相関解析)及び、ウイルス遺伝子系統クラスターと採取地のコスト空間クラスターを用いた関連指標検定(Association index test)を用いた。結果、標高勾配がウイルスの伝播に対して最も大きな障壁であると推測された。しかし、ウイルス感染鎖の空間分布を決定づけるほど大きな影響を持つ因子は認められず、地形・ヒトコミュニティ・狂犬病対策活動といった因子のウイルス伝播に対する影響はさほど大きくないことが示唆された。以上より、フィリピンにおける狂犬病ウイルスの島内伝播動態が明らかとなった。現状の対策では狂犬病清浄化の実現可能性が低いことが予想される。狂犬病清浄化のためにはサーベイランスの強化やワクチン接種といった対策の継続が重要であり、地域内の感染鎖の広がりを断ち切るために、地方自治政府間の連携した狂犬病対策が必要であると考えられた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
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