申請者は初代星起源の連星ブラックホールの特性が初代星の初期条件や連星進化の不定パラメータによらないことを示し、太陽の30倍程度の質量のブラックホール同士の連星(連星ブラックホール)の観測により、実証できることを明らかにした。さらに、申請者は初代星起源ブラックホールの自転についても研究を行い、形成されるブラックホールとして極端に回転していないものと回転しているものに分かれ、回転しているブラックホールの合体により、強重力下での一般相対論の県境ができることを示した。 これは宇宙初期にできた光では見ることのできない天体を重力波という新たな観測手段で明らかにし、さらには基礎物理の検証をも行うという意欲的な研究である。さらにLIGOによる初の重力波検出GW150914の結果は申請者の予言と明らかに合致した約30太陽質量の連星ブラックホールによる重力波であり、LIGOグループの論文にも詳細に「驚くべき事にGW150914は衣川らの予言の質量とぴったりと一致している。」と引用されている。本研究は、今後の重力波による観測を牽引しうる意欲的かつ重要な研究といえる。実際,0.1Hz帯を狙う宇宙重力波干渉計DECIGOの第1段階のpre-DECIGOでもGW150914のような連星ブラックホールは検出可能であるので、pre-DECIGOの詳細なサイエンスターゲットを提示した。
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