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2013 年度 実績報告書

ギブズエネルギー3次微分量の精密測定による水溶液の特異な構造の解明

研究課題

研究課題/領域番号 13J01365
研究機関大阪大学

研究代表者

吉田 康  大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード水溶液 / テトラヒドロフラン / 熱力学的3次微分量
研究概要

私は水溶液の混合様式を熱力学, 特にギブズエネルギーの3次分量を用いて解明しようとしている. ギブズエネルギーは系の熱力学的な情報を含むが, 微分することにより更に詳細な情報を得ることができる. ギブズエネルギーの3次微分量は, 溶質の疎水性/親水性によりピーク型/屈折型の異常をもつ, 逆にこれを利用して3次微分量を求めることにより水溶液の疎水性/親水性を求めることができる. また, 異常が出る濃度を横軸に, その温度を縦軸にして図に描写すると, 溶質ごとに1つの曲線上にのる. その曲線を『コガライン』と呼んでいる. 3次微分量やコガラインの性質をより詳しく調べるため, テトラヒドロフラン(THF)水溶液の3次微分量を求める.
まず, 研究室既設の装置を用いて, THF水溶液の^<SV>δ(=Tα_p)の濃度微分量を直接測定を行った. 結果はピーク型の異常を示し, THFが水溶液中で疎水的な振る舞いを行うことがわかった. また, 5℃から40℃までの測定を行い, ピークの濃度とその時の温度の関係性を調べると, 図上で1つのコガラインを形成することがわかった. コガラインを低温に近づけていくと, THF水溶液が包接化合物を形成する温度・濃度に近づいていくことがわかった. これにより, コガラインと包接化合物の構造に何かしらの関係性があると期待される, コガラインを無限希釈まで外挿すると, その値は他のコガラインの外挿値と一致した.
また, THF水溶液の他の3次微分量として部分モルエンタルピー・エントロピー・体積の濃度微分量を求めようとしている, 部分モルエンタルピーは混合熱測定, 部分モルエントロピーは化学ポテンシャルと部分モルエンタルピーから求めることができる, まず, 化学ポテンシャルを求めるため, 蒸気圧測定を行った, 蒸気圧測定装置を作成し, 求められた蒸気圧からTHF水溶液の化学ポテンシャルを求めた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

蒸気圧測定装置の作成と滴定熱測定の装置の整備に想定以上の時間を取られた. 蒸気圧測定装置を作成する際, 私に装置作成のノウハウがなく, ミスや無駄な過程が多くなってしまった. 完成後の測定はスムーズに行われた.
滴定熱測定用の装置は長い間使われておらず, 予期しない整備が必要であった. また, 校正が前に測定が行われていたデータが残っておらず, 校正に手間がかかってしまった。

今後の研究の推進方策

今後, 滴定熱測定により部分モルエンタルピーの濃度微分を求める, これにより化学ポテンシャルの濃度微分量は蒸気圧測定により求めているので, 部分モルエントロピーも求めることができる. 研究室にある装置では時間がかかりすぎるが, 迅速な測定を行うため, デンマークのPeter Westh教授の研究室に行き, 全自動の滴定熱測定装置を用いて測定を行う.
また, 1p-プロービング法をテトラヒドロフラン水溶液に用いる. 1p-プロービング法とは, 水溶液に1-プロパノール(1P)を滴下し, その滴定熱より部分モルエンタルピーの濃度微分量を求める. それを, 純水に滴下した時の物理量と比較し, 溶質の親水性/疎水性を評価するものである. 装置は研究室既設の装置を用いて行う.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Anomalies in the Third Derivatives of Gibbs Energy and Their Temperature Dependence in Aqueous 2-Butoxyethanol and Glycerol : On the so Called Koga Lines2014

    • 著者名/発表者名
      Koh Yoshida・Akira Inaba Yoshikata Koga
    • 雑誌名

      Journal of Solution Chemistry

      巻: (印刷中)

    • DOI

      10.1007/s10953-013-0122-7

    • 査読あり
  • [学会発表] ギブズエネルギー高次微分量によるテトラヒドロフラン水溶液の混合様式の研究2014

    • 著者名/発表者名
      吉田 康, 稲葉 章, 古賀 精方
    • 学会等名
      日本化学会第94回春季年会
    • 発表場所
      名古屋大学, 愛知
    • 年月日
      2014-03-29
  • [学会発表] 熱力学高次微分量の濃度および温度依存性からみる、テトラヒドロフラン水溶液の混ざり方2013

    • 著者名/発表者名
      吉田 康, 稲葉 章, 古賀 精方
    • 学会等名
      第49回熱測定討論会
    • 発表場所
      千葉工業大学津田沼キャンパス, 千葉
    • 年月日
      2013-11-02
  • [学会発表] ON THE SO-CALLED KOGA LINE.2013

    • 著者名/発表者名
      Koh Yoshida・Akira Inaba Yoshikata Koga
    • 学会等名
      The Fifth International Symposium on the New Frontiers of Thermal Studies of Materials
    • 発表場所
      横浜情報文化センター, 神奈川
    • 年月日
      2013-10-29
  • [学会発表] テトラヒドロフラン水溶液野ギブズエネルギーの3次微分量とその濃度依存性・温度依存性2013

    • 著者名/発表者名
      吉田 康, 稲葉 章, 古賀 精方
    • 学会等名
      第7回分子科学討論会
    • 発表場所
      京都テルサ, 京都
    • 年月日
      2013-09-24
  • [学会発表] Anomalies in the Third Derivatives of Gibbs Energy and Their Temperature Dependence for Aqueous Tetrahydrofuran : Another Example of the Koga Line?2013

    • 著者名/発表者名
      Koh Yoshida・Akira Inaba Yoshikata Koga
    • 学会等名
      EMLG/JMLG Annual Meeting 2013
    • 発表場所
      リール, フランス
    • 年月日
      2013-09-10
  • [備考] 構造熱化学研究構造熱科学研究センター 阪大化学熱力学レポート

    • URL

      http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/micro/report/rcst/2013/2013res05.html.ja

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公開日: 2015-07-15  

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