研究課題/領域番号 |
13J01369
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
坂口 了太 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 急性肺傷害 / IL-22 / IL-23 / Th17 |
研究実績の概要 |
LPS誘導性肺傷害モデルを用いて、IL-22の役割と産生細胞について調べた。IL-22を産生するTh17やTh22への分化には、IL-23が必要である。そこで、IL-23KOマウスを用いて、肺障害を作成した。気管支肺胞洗浄液(BALF)中の細胞数が減少し、IL-6、IL-22の発現も抑制された。IL-23中和抗体投与により、BALF中の細胞数が減少し、IL-6、IL-22の発現も抑制された。H&E染色を行ったところ、中和抗体投与で、炎症性細胞の浸潤が抑制された。この結果は、IL-22産生に必要なIL-23が炎症促進に働くことを示唆した。 続いて、T細胞を欠損するCD3eKOマウスとB、T細胞を欠損するRag2KOマウスを用いた。WTマウスと比べて、BALF中の炎症細胞、IL-6、IL-22の発現が低かった。T細胞欠損マウスは、ILC (Innate Lymphoid Cell)は存在する。今回、両KOマウスからのIL-22の発現が抑制されることから、ILCよりもT細胞がIL-22の産生に寄与する可能性が示唆された。 抽出した細胞をT細胞とNK細胞に分離し、IL-22のmRNAの発現をrealtime PCRで調べた。その結果、ヘルパーT(Th)細胞で、IL-22mRNAの発現が高かった。また、IL-17やRORgtの発現も認めた。この結果から、Th17がIL-22の主要な産生細胞であることが示唆された。 抗生剤投与マウスで、同様に肺障害を作成し、Th17が大幅に減少していた。また、BALF中の細胞数は減少し、IL-6、TNF-a、IL-22も大幅に減少した。この結果は、抗生剤による常在菌の減少がTh17分化を抑制することを示唆した。 LPS誘導性肺傷害モデルにおいて、Th17由来のIL-22は炎症促進に働き、抗生剤投与による常在菌の減少がTh17分化を抑制する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LPS肺障害モデルにおけるIL-22の炎症への影響、産生細胞、産生細胞への抗生剤の影響、IL-23中和抗体投与による抗炎症効果をこの1年で示したことから、ほぼ順調と考える。
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今後の研究の推進方策 |
抗生剤投与により、Th17分化が抑制されるメカニズムを、常在菌への影響を含めて、調べる。 同時に、論文を作成し、必要な追加実験を行う。
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