研究課題/領域番号 |
13J01399
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
楊 泱泱 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | DNAオリガミ / アゾベンゼン / ドラッグデリバリ / 光反応 |
研究概要 |
本研究者は、昨年度の研究で、DNAナノテクノロジーをとして、1分子反応の実時周観察とターゲット分子を運ぶためのナノサイズのキャリアーの開発を行った。 (1)DNAナノフレーム内での論理制御可能な双方向スイッチの直接観察 本研究者は、以前に光応答DNAの構造変化を1分子で可視化するための観察システムの開発に成功し報告している。これと同様の方法論で、3つの対となる結合部位を持つDNAナノフレームを作成し、光照射とカリウムイオン(K+)を2種類の外部刺激として、論理的な構造遷移の観察を行った。2本の擬相補的な光応答性DNA鎖とグアニンテロメア配列をもつ2本のDNA鎖を3本の2本鎖DNAに結合し、これらをDNAフレームに導入した。2種類の外部刺激、つまり外部操作できる光照射と金属イオン(K+)依存性のスイッチを使って、DNAフレーム内で2段階の連続した反応を実現できた。さらに、異なる波長の光照射の切り替えとK+の有無によって、3本の2本鎖DNAの3種類の状態を制御でき、それらの状態遷移を論理ゲートのように高速原子間力顕微鏡で直接可視化することに成功した。この結果は、DNA computationのシグナル遷移の追跡に新たなアプローチの方法を示している。 (2)生体分子の運搬を目指した光照射で操作可能なDNAナノカプセルの構築 DNAの優れた生体適合性のため、DNAを素材としたナノマテリアルは生体応用を目指してより興味がもたれている。本研究では70×10×10nm3の3次元カプセルを設計・構築した。その内部にはナノ粒子やタンパクなどのターゲット分子を運ぶための20×5×5nm3のナノ空間を持つ。DNAナノカプセル構造体に成功し、AFMによってその構造を確かめた。細胞内に導入するためのターゲット分子として、癌細胞にアポトーシス(細胞死)を誘導するcaspase-3を選んだ。現在、酵素の発現と精製に成功しその酵素活性も確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書で提案した研究計画どおりに順調に進んでいる。光応答性のナノカヲセル構造体の構築も達成でき、酵素の導入も予定通りに行えている。
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今後の研究の推進方策 |
次の段階ではcaspase-3を内部に導入した光応答性ナノカプセルを作成し、光照射によってその活性の制御を検討する。その後、構築したナノカプセルを培養細胞内へ導入し、光照射によるアポトーシスの誘導を検討する。
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