研究課題/領域番号 |
13J01422
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮川 真弥 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 北村季吟 / 古典学 / 古今伝授 / 源氏学 / 書誌学 |
研究概要 |
本年度は主として、北村季吟の古典学(特に源氏学)に関する資料収集と、板本における匡郭高の比較による版の同定についての調査・開発を行った。 当初、本年度の予定として、交付申請書で述べた事項は以下の5点にまとめられる。1、伝授書『源氏物語微意』と公刊物『湖月抄』との比較対照およびその注釈態度についての検討。2、伝授書『教端抄』と公刊物『八代集抄』『古今和歌集』部との比較対照。3、『教端抄』各伝本の性質についての検討。4、公刊物同士での版の異同等の分析のための電子画像解析プログラムの開発。5、「吉保伝授本」の翻刻。 まず、①の調査を進める前提として、『源氏物語微意』の翻刻を行った。これは⑤の一部に相当する。当該資料は日本大学総合学術センターにおいて、電子画像の閲覧のみが許可されているため、現地に赴き作業する必要があり、当該作業の実施に当初の想定以上の時間を要したため、②③については、翌年度に繰り越すこととなった。また、当該翻刻の投稿を企図し、日本大学に翻刻掲載の申請をしたが、掲載の可否については現在なお検討中であり、これも翌年度に繰り越すこととなった。申請が受理され次第、投稿を行う予定である。 併せて、季吟の源氏学についての資料を博捜することに着手した。従来未検討の資料を中心に調査・熟覧した。これらの調査結果および検討の結果は翌年度に論文化する予定である。残る④の理論面については、研究発表(2)-1で発表し、論文化を進めている。プログラムの開発については、匡郭高自動計測ソフト「RularJB(仮)」の試作版が形をなした。なお精度を高める必要があるが一つの道筋が付いたといえる。今後は当該プログラムを用いた実測や調査を実施していく予定である。 総合的に本年度は、予定ほどではないがある程度の進展があったと評価できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の通り、『源氏物語微意』の翻刻を行ったが、当該資料は日本大学総合学術センターにおいて、電子画像の閲覧のみが許可されているため、現地に赴き作業する必要があり、当該作業の実施に当初の想定以上の時間を要した。そのため、当初の計画より若干の遅れを生じているが、資料調査の進展により、翌年度に遅れを取り戻せるものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
まずは前半期に、主として季吟の源氏学について検討を行う。日本大学藏『源氏物語微意』の翻刻を投稿する予定である。ほかにも、ひろく季吟の源氏学について調査を進めており、併せて論考にまとめているところである。また、昨年度に行った板本版種弁別法の研究の論文化を行う。 ついで、後半期には季吟伝授書の研究を行う。さらに、季吟は公刊物において、逐次、増補改訂を行っており、同種の公刊物同士の比較によって、注釈の成長の過程が窺える。この公刊物の増補改訂と伝授書との関係性を検討
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