研究課題/領域番号 |
13J01428
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐々 文洋 筑波大学, 生命環境系, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 微生物 / 培養デバイス / MEMS / スクリーンニング / 単離 / 微小ゲル / 画像解析 / 国際研究者交流(米国) |
研究実績の概要 |
従来の新規有用微生物探索を目的とした環境サンプルのスクリーニング研究の多くは、シャーレやウェルプレートを用いて、単離・培養・分析を行ってきた。しかし、この方法では同時に処理できる培養数は数百程度に限られる。そこで本研究では、マイクロマシンニング技術を用いることで、1プレートあたり1万単位の独立した長期微生物培養および単菌レベルの微量な代謝物の検出の実現を目的としたアレイ型培養デバイスを作製した。デバイスは、円形のガラス基板(φ3 inch,厚さ500 μm)を基板とし、フォトリソグラフィーによって形成された80 μm角の孔が約10万個アレイ状に並んだ樹脂層を持つ。樹脂層の上面は超撥水処理(接触角130°)が施されており、各孔には独立にLB寒天培地が充填されている。密度を適切に調整した菌懸濁液をデバイスに導入することにより、各ゲルにそれぞれ0個から数個程度の菌が播種され、確率的な一括した単離が可能となる。ゲルの持つ保水性によりわずか5 nLでありながら、培地の蒸発を抑え長時間の培養が可能となる。 昨年度は、培養で得られた情報を解析する画像ソフトウェアの作製及び培養熱分布管理デバイスの構築を行った。培養デバイスに緑と赤の蛍光タンパク質(eGFPおよびDsRed)をそれぞれ発現させ識別した二種類の大腸菌(E.coli:K-12)の混合懸濁液を導入し、18時間培養観察しタイムラプス画像を取得した。得られた蛍光画像を解析することにより各チャンバーにおいて単離された菌体量を推定することができ、また、連続画像を解析することで、各菌由来の増殖曲線を1平方センチメートルあたり千本の密度で一括取得することができた。現在これらの情報を基に同一遺伝子を持つ集団中での個体間のばらつきの評価を進めている。 なお本検討の一部は米マサチューセッツ工科大学Klavs.F.Jensen教授のグループに滞在し実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の高密度培養デバイス構築に引き続き、大量の培養情報を得られた画像データより一括して取得する技術が開発できた。今後さらなる培養時の環境安定性の向上及び、特定培養ゲルの選別取得法が必要となるが、残る本年度の研究で達成可能と考えている。以上よりおおむね順調と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
培養容器の材質、温度や湿度管理等の培養環境の向上を行う。また、特定の個別ゲルをピックアップし再度培養する機構の構築を行う。
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