研究課題
一般に卵生脊椎動物の卵は、多量の卵黄を蓄積することを特徴とする。卵黄を構成する物質は、主にビテロジェニン(Vtg)と呼ばれる雌特異血清蛋白に由来する。そして、Vtgは、雌性ホルモンであるestradiol-17β(E2)の作用により肝臓で合成される。しかし、先行研究においてヌタウナギ(Eptatretus burgeri)では、Vtg遺伝子の発現は一般的な同遺伝子発現機構とは大きく異なる可能性が示された。そこで本研究ではヌタウナギにおけるVtg遺伝子の転写調節機構の解明を目的としており、本年度は以下の実験を行った。①ヌタウナギ肝臓片培養系を用いた2種Vtg遺伝子発現誘導実験本種の雄および成熟雌から得た肝臓片をE2(1 μM)添加した培養液、雌血清または成熟雄血清を含有した培養液を用いて1日または2日間培養した。培養後に各群の肝臓片中の2種Vtg遺伝子発現量をリアルタイム定量PCR法により測定した。その結果、両Vtg 遺伝子発現量は、何れの培養条件においても顕著な変化が認められなかった。本結果に加え、以前行ったin vivo実験においてもE2によるVtg遺伝子発現誘導が顕著に起こらなかったことから、ヌタウナギにおけるVtg遺伝子の発現制御はE2やエストロジェン受容体を介した経路を主要経路とせず、他のホルモンや転写調節因子等を介する可能性が強く示された。②Vtg合成に関わる転写調節因子の網羅的解析本種におけるVtg遺伝子の発現制御に関わる他のホルモンや転写調節因子等を探索するために、雌および雄の肝臓より得たmRNAを次世代シーケンサー(HiSeq 2000; illumina社)に供したトランスクリプトーム解析を試みた。その結果、Vtg遺伝子の発現に関わる因子の特定までには至らなかった。しかし、今後さらに解析を進める上での重要なコンティグデータベースを得ることができた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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