研究概要 |
1. 引張疲労試験 : 単結晶シリコンの疲労にはいくつかのメカニズムが主張されており, 本研究では非圧縮応力下での引張疲労破壊評価を用いて単純な応力状態における疲労現象を分析し, その解明に資することを目指す. マイクロ構造体疲労現象の結晶異方性の評価として, 表面を(100)結晶面とする異なる2方位の構造で測定を行い, ほとんどのサンプルで100万サイクルまででは疲労破壊に至らなかった. これは引張応力下では疲労破壊に至るまでに必要なサイクル数が多いことを示す. 今後, 十分な数の疲労破壊データを取得して統計的に分析するため, 測定サイクル数を増やし, 平成26年度に(110)結晶面を表面とする構造の結晶異方性の影響を評価する. また並行して, より高サイクルまでの測定のため, 共振を用いて高速で引張疲労試験を行う方法を模索している. 共振から非圧縮の引張試験となる応力を取り出すことは容易ではなく, マイクロ構造を破断させるのに十分な高い応力状態を実現するために検討を行った、これまでに有限要素法解析と試作構造の設計を完了し, 上述の方法と比較して10倍以上の高速化が見込まれる. 今後試作構造の作製を行う. 2. マイクロからナノスケールまでの構造体の破壊特性の評価 : 本研究では環境温度の影響の評価を行う, 構造寸法によって環境温度の影響が異なることが先行研究で報告されているが, 特に引張試験は高温測定の難しさから報告例が少ない. 検討の結果, 赤外線楕円集光加熱を用いる方法を採用した. この方法を用いた測定系で800℃までの加熱を確認し, また室温から600℃までの間で単軸引張試験を1方位の構造に対して実施し, バルクと比較して脆性延性遷移温度の低下を確認した. また平成25年度中に測定系の問題点を確認し, 高精度な測嵐を行うために装置の改良を行った. 平成26年度中にマイクロ構造の異方性の影響評価までの拡張する.
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