研究課題/領域番号 |
13J01633
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河内 護之 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 特別研究員(DC2) (70771294)
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キーワード | Aohst4 / 菌類特異的HDAC / laeA / 二次代謝 / 分化 |
研究概要 |
本年度は、Aohst4による二次代謝制御機構及びその制御機構に関与する因子について解析する為、以下の項目について解析を行った 1. Aohst4による広範な二次代謝制御について Aohst4による二次代謝制御機構についてより深く理解する為、Aohst4破壊株を用いてマイクロアレイによるトランスクリプトーム解析並びにLC-Q/TOF-MSを用いたメタボローム解析を実施した。その結果、遺伝子発現ならびに代謝物レベルで広範に二次代謝制御に関与していることが明らかとなった。したがって、Aohst4は、麹菌における主要な二次代謝制御因子の一つであることが示唆された。 2. Aohst4の進化系統学的な解析Aohst4の機能について、進化系統学的な観点からその機能や保存性について解析を行った。まず、糸状菌におけるAohst4の保存度についてBLAST検索並びに系統解析により検討した結果、少なくとも30種以上の糸状菌で保存されていた。また、Aohst4について系統学的分類を行った結果、菌類特異的な田)ACに分類されることが明らかとなった。Aohst4はこれまでの解析で、菌類に特徴的な、二次代謝や分生子形成等の表現型の制御に関わることを示している。したがって進化系統学的解析並びに機能解析からAohst4は、糸状菌に高度に保存され且つ菌類特異的な表現型を制御する重要なHDACである可能性が示唆された。 3. Aohst4とlaeAの関係について 糸状菌における重要な二次代謝と分化の制御因子である1aeAとの関連について検討する為、Aohst4破壊株におけるlaeAの遺伝子発現についてノーザン解析を行った。その結果、Aohst4破壊株において1aeAは高発現していることが明らかとなった。さらに、Δ1aeA 、ΔhstD二重破壊株、Δ1aeA hstD高発現株、ΔhstD 1aeA高発現株を用いた遺伝学的な解析を行った結果、hstDは、laeAの上流で機能していることが明らかとなった。したがって、Aohst4は、1aeAを介し二次代謝と分化の制御を行っていることなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、1.Aobst4による広範な二次代謝制御解析並びに2.Aohst4とlaeA、spt3、gcn5の3因子との遺伝学的な関連について解析を実施する予定であった。1.については当初の予定以上に解析が進展している一方で、2.については、Aohst4とlaeAの関連の解析にとどまっており、やや研究が遅れている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Aohst4と関連する二次代謝制御因子を重点的に研究する。特にspt3との遺伝学的な関係について解析を行う。またspt3とlaeAの遺伝学的な関係についても解析を行いAohst4, spt3, laeAの二次代謝制御における遺伝学的な関係性についても解析を行う。また、aevlの制御因子あるいは制御下にある因子についても検討し、二次代謝制御におけるAohst4下流の制御系についても解明を目指す。
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