研究課題/領域番号 |
13J01662
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
香月 雅子 筑波大学, 生命環境系, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 性選択 |
研究実績の概要 |
本年度はまず、オオツノコクヌストモドキにおいてオス間の闘争行動の負け癖、闘争経験による交尾行動の可塑性に共生細菌がどのように影響を与えるのかを調べるために共生細菌のいない状態での行動の可塑性を調べた。この結果は学会にて発表したが、今後の追加実験が必要であり、終わり次第論文執筆を行う。また、オオツノコクヌストモドキにおける生活史形質・繁殖形質への共生細菌感染による影響をみるためにインジェクジョンによるWolbachia感染系統を作出し、Wolbachiaの存在によって生活史形質・繁殖形質がどのように変化するのか検証する予定であったが、現在共同研究者からインジェクションの技術指導を受けており、感染系統の作出段階である。本年度は、本研究に関連した武器昆虫での共同研究の成果が3報国際誌に掲載され、また別の1報は受理を受け、1報は査読を受け改訂中である。 研究計画にあるマメゾウムシ類のWolbachia感染の集団内伝播実験では、本年度はアズキゾウムシ・ヨツモンマメゾウムシWolbachia感染系統、非感染系統をもちいて集団内の感染個体の頻度を世代毎に確認していく予定であった。しかしながら、ヨツモンマメゾウムシではWolbachiaの感染・維持が難しいため、代わりにアカイロマメゾウムシを用いて実験を変更した。集団内での伝播実験を行うために、各形質を調べオスの交尾行動とメスの適応度との関係を調べ、交尾前や交尾中の行動がオスの質の指標になるのか実験を行った。現在、これらの形質をテトラサイクリン処理個体でも調べている段階である。現在、テトラサイクリン処理・コントロール処理系統での実験を行っている。また、本研究に関連した近縁種アズキゾウムシでの研究成果のひとつは現在投稿中であり、もう1報は投稿間近である。また、Wolbachiaとメイガに関する共同研究の成果に関しても現在執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験に使用する種の変更と系統の作出に時間がかかり、当初の実験計画よりもおくれが生じている。しかしながら、現在、すでに実験は開始できており、データも順調にとれている。研究データを逐一確認、まとめて研究成果として穴のないようなデータ取りをしていきたい。次年度にはデータをまとめ、学会等で研究成果を発表することができるだろう。また、関連する研究に関しては、共同研究を外部の研究者と行っており、すでに論文掲載などの成果がでている。また、海外の研究者とも新しく繋がりができており、研究に関する議論も定期的に行っている。これらは、本研究テーマの発展にも大きく繋がることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた使用昆虫よりも実験に最適な種を見つけ、実験もデータをとることができている。今後は、データを増やしながら、研究成果を論文として掲載できるように、厚みのあるつかデータをとっていく。今後はシミュレーションを用いた研究も検討しているため、受け入れ研究者に指導を仰ぎ、進めていきたいと考えている。また、関連する研究もこれまで通りに共同研究者とともに行っていく。
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