研究課題/領域番号 |
13J01682
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安齋 賢 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | メダカ / ゲノム編集 / ヌクレアーゼ / 標的遺伝子組換え / TALEN / CRISPR/Cas |
研究概要 |
ゲノム情報の整備が急速に進む現在、個々の遺伝子の機能を個体レベルで詳細に解析するために、逆遺伝学的手法の重要性が増大している。本研究では、任意のゲノムDNAを切断可能な人工ヌクレアーゼを用いて、メダカにおける標的遺伝子組換え技術を確立することを目的とした。本年度は、作製したヌクレアーゼの活性評価や変異体作出を簡便・高効率に行うため、次の3点に取り組んだ。 1. マイクロチップ電気泳動装置を用いた変異検出方法の改良 : 標的配列を含む短鎖PCR産物の電気泳動による変異解析手法(Heteroduplex Mobility Assay)とマイクロチップ電気泳動装置と組み合わせて用いることで、より迅速かつ簡便な変異検出方法の確立に成功した。 2. ヌクレアーゼ標的配列による導入変異の偏りの解析 : 複数のTAL Effector Nuclease (TALEN)における変異配列解析によって、TALEN切断箇所を挟んで存在する3から6塩基程度の2つの相同配列間で、特定の欠失変異配列が高頻度に出現することを発見した。 3. CRISPR/Casシステムのメダカにおける有効性の検討 : RNA誘導型エンドヌクレアーゼとして機能するCRISPR/Casシステムのメダカの標的遺伝子破壊において有効であることを示した。さらに、single guideRNA (sgRNA)の5'側の構造を比較検討することで、比較的自由に標的配列を選択できることを示した。一方で、一部のsgRNAによって標的配列に類似したゲノム中の配列(off-target)が切断されることが明らかとなった。 これらの成果から、人エヌクレアーゼを用いた標的遺伝子破壊はメダカにおいて容易に使用可能な技術となりつつある
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初使用を計画していたTALENに加えて、新たにCRISPR/Casシステムが登場しそのメダカへの適用に成功したことで、メダカ初期胚内における変異導入効率は大幅に向上した。この結果は当初の予想を遥かに上回るものであり、標的組換え実験への成功に向けて大きく前進したと考えられ. 。
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今後の研究の推進方策 |
人工ヌクレアーゼによるGFP等のレポーター遺伝子を含む遺伝子断片の標的箇所への導入実験を行う。既に同じ小型魚類であるゼブラフィッシュにおいて、相同組換え非依存的な遺伝子断片の標的導入の成功が報告されていることから、そのデータを参照にして実験に取り組む予定である。
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