研究課題/領域番号 |
13J01696
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
陣内 青萌 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 有機薄膜太陽電池 / アクセプター / 有機半導体 / π共役 |
研究実績の概要 |
本研究課題は有機薄膜太陽電池におけるアクセプター材料への応用を指向した新規π共役化合物の創製である.現在,有機薄膜太陽電池においてフラーレン誘導体以外で良好な特性を示すアクセプター材料の種類は極めて限られており,高性能アクセプター材料の開拓に向けては材料設計の指針となる分子構造,物性,およびデバイス特性との関係について明らかとすることが当該分野の重要課題となっている.前年度までに,アクセプター材料の表面物性が光電変換特性と密接に関係していることを明らかとすることができた.そこで本年度は,アクセプター材料の分子構造と表面物性との相関関係の解明を踏破すべき課題とし,アクセプター分子のπ共役系の広がりや分子末端基の構造と表面物性,光電変換特性との関係を詳細に評価した.その結果,アクセプター材料表面の分子配列が表面物性を支配していることが示唆され,かつ,分子構造のチューニングによって精密に制御することが可能であることが明らかとなった.本年度の研究により明らかとなった化学構造と薄膜特性との関係性は,研究課題である有機薄膜太陽電池分野の材料開発のみならず,有機分子性材料全般にわたって活用することが可能な知見であり,有機機能性材料分野の発展において意義深い内容と考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までに明らかとした分子構造-表面物性-光電変換特性の相関関係はアクセプター材料の分子開拓に新たな指針を提供することを可能とするものであり,本知見を分子設計に取り入れることで,光電変換素子の特性に向上が見られている.研究の進捗に伴い,アクセプター材料の構造-物性相関の解釈は精密化してきており,おおむね順調に進展していると評価できる.
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今後の研究の推進方策 |
当該年度までに,分子構造-表面物性-光電変換特性の関係に関する実験的知見を得ることに成功した.そこで今後の研究の推進方策として,有機薄膜太陽電池に有利な分子配列を,アクセプター材料の分子構造チューニングによって達成する指針の確立を推し進める.これまで分子設計指針の確立において平面構造のアクセプター材料を中心として評価を推進してきた.今後は具体的に,分子構造に次元性を導入することで分子間相互作用の制御を試み,有機薄膜太陽電池に有利な分子配列の構築に挑戦する.
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