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2013 年度 実績報告書

3次元複雑振動場における微粒子群挙動に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 13J01710
研究機関京都大学

研究代表者

小早川 昔離野  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード微粒子 / 付着凝集 / 振動 / 輸送 / 流体抵抗 / 転がり運動 / 跳躍 / 衝突
研究概要

企業の生産プロセスでは, 粉体の微細化に伴う付着凝集性に起因するハンドリング上の問題が今後, 急増することは必至であり, 粉体操作の基盤技術の確立が重要である。平成25年度は, 二次元振動基板上の粒子挙動について, 従来ほとんど解明されていない付着凝集性の強い微粒子を対象に研究を行った。振動基板上の粒子の挙動は, 1. 分離, 2. 跳躍, 3. 衝突の3つに分けられる。それぞれの研究成果を以下に示す。本研究で得られた成果は, 振動場を利用した装置の設計や操作条件の設定に役立つ重要な知見となることが期待される。
1. 分離 顕微高速度カメラを用いて, 粒子の分離挙動の微視的解析を行った結果, 粒子は静止状態から転がり運動を経て分離に至ることを見出した。また, 転がり運動によって, 基板と粒子間の付着力が減少したことがわかった。さらに, 力学モデルを用いて解析した結果, 転がり運動は垂直加速度よりも水平加速度に依存しやすいことがわかった。
2. 跳躍 粒子径0.5-500μmの粒子の跳躍挙動を解析した結果, 粗粒子は分散状態で高く跳躍するが, 微粒子は凝集体を形成し, 僅かに跳躍しながら輸送されることがわかった。また, 粗粒子は前方と後方への跳躍を繰り返しながら輸送されるのに対し, 微粒子で構成された凝集体は常に前方へ跳躍するので, 粗粒子よりも輸送速度が大きくなった。力学モデルによる数値シミュレーションを行った結果, 粒子の運動軌跡は実験結果と良好に一致した。
3. 衝突 粒子径20-500μmの粒子の衝突挙動を解析した結果, 粒子径が小さくなると, 流体抵抗の影響が大きくなり, 反発速度が非常に小さくなることがわかった。壁近傍での流体抵抗の増加の影響(壁効果)を考慮した数値シミュレーションは実験結果と良好に一致した。さらに, 衝突速度や粒子密度を変化させた実験から, 反発係数はストークス数の減少にともなって小さくなることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

粒子挙動の微視的解析を行った結果, 基板の二次元振動が粒子の回転運動を誘発し, これに伴って基板と粒子間の付着力が著しく減少することを初めて見出した。また, 衝突および跳躍挙動の解析では, 粒子径による運動軌跡および粒子速度の依存性を定量的に評価することに成功した。さらに, 力学モデルによる数値計算や確率モデルによる解析を行い, 一連の粒子の運動機構を理論的に解明した。

今後の研究の推進方策

平成25年度は単一の振動基板上での粒子挙動を実験と理論計算により解明した。今後, 微粒子層を狭隘部(間隙)に導き, 複数の振動基板で挟み込む多重振動剪断場での粒子挙動の解析に研究を拡張する。強い振動剪断力による流動性の向上と併せて, 精密輸送に重要である凝集体の解砕効果も評価する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Analysis of behavior of small agglomerated particles on two-dimensional vibrating plate2013

    • 著者名/発表者名
      Murino Kobayakawa, Masatoshi Yasuda, Shuji Matsusaka
    • 雑誌名

      AIP Conference Proceedings

      巻: 1542 ページ: 991-994

    • DOI

      10.1063/1.4812100

    • 査読あり
  • [学会発表] Saltation of fine particles on obliquely oscillating Plate2014

    • 著者名/発表者名
      Murino Kobayakawa, Masatoshi Yasuda, Shuii Matsusaka
    • 学会等名
      The 7th World Congress on Particle Technology
    • 発表場所
      Beijing, China(発表確定)
    • 年月日
      2014-05-20
  • [学会発表] 微粒子と基板の衝突挙動の解析2014

    • 著者名/発表者名
      藤元あゆみ, 桐山聖也, 小早川昔離野, 安田正俊, 松坂修二
    • 学会等名
      化学工学会第79回年会
    • 発表場所
      岐阜大学
    • 年月日
      2014-03-18
  • [学会発表] 二次元振動基板上の微粒子の分離に対する転がり運動の影響2014

    • 著者名/発表者名
      桐山聖也, 小早川昔離野, 安田正俊, 松坂修二
    • 学会等名
      化学工学会第79回年会
    • 発表場所
      岐阜大学
    • 年月日
      2014-03-18
  • [学会発表] 二次元振動基板からの微粒子の分離挙動の解析2013

    • 著者名/発表者名
      桐山聖也, 小早川昔離野, 安田正俊, 松坂修二
    • 学会等名
      粉体工学会秋期研究発表会
    • 発表場所
      大阪南港ATC
    • 年月日
      2013-10-08
  • [学会発表] 微視的挙動の観察と力学モデルによる振動基板上の微粒子の輸送特性の解析2013

    • 著者名/発表者名
      小早川 昔離野, 安田 正俊, 松坂 修二
    • 学会等名
      化学工学会第45回秋季大会
    • 発表場所
      岡山大学
    • 年月日
      2013-09-16
  • [学会発表] Analysis of behavior of small agglomerated particles on two-dimensional vibrating nlate2013

    • 著者名/発表者名
      Murino Kobayakawa, Masatoshi Yasuda, Shuii Matsusaka
    • 学会等名
      Powder and Grains 2013
    • 発表場所
      Sydney, Australia
    • 年月日
      2013-07-10
  • [備考] 松坂研究室ホームページ

    • URL

      http://www.cheme.kyoto-u.ac.jp/9koza/index.html

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公開日: 2015-07-15  

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