研究実績の概要 |
従来、移動ロボットの地図作成と自己位置推定は、環境の部分的な形状の特徴を用いており、累積誤差の軽減や計算効率の向上が困難だった。本研究は、3次元形状情報の空間周波数解析に基づく、地図情報記述法の開発と、その地図情報を利用した移動ロボットによる大域的な自己位置推定手法を開発し、精度向上と計算コスト削減を目的とする。 本研究は、屋内外の実環境で動作する移動ロボット上に提案するシステムを実現することを最終目的とし、次の5つの段階に分けて研究を進める。【Step1】環境の2次元形状情報の空間周波数成分の分析に基づく特徴量の記述方法を明らかにする。【Step2】Step1で定式化した特徴量を用いた大域的な自己位置推定手法を移動ロボット上に実装し、屋内外の環境で提案手法の有用性を示す。【Step3】Step2の具体的な実験結果を基に、空間周波数解析における誤差要因を明らかにし、必要ならば対策や改良を行う。【Step4】Step1~3で得た知見を基に、形状特徴の表現法を3次元形状情報へ拡張する。【Step5】屋内外を3次元的に移動するロボットに、提案手法を実装し、筑波大学構内(周回路約5.3km)の実験環境において、大域的な自己位置推定の精度や誤差の特性を調査し、屋内外で提案手法が十分実用的な位置推定精度を有することを示す。 当該年度では、Step4,5を実施し、国内査読付シンポジウム(第20回ロボティクスシンポジア)へ研究成果を報告し、これまでに得られた知見を、移動ロボットの誘拐問題に対する新たな取り組みとして査読付き邦文および英文学術雑誌への投稿を準備中である。
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