研究概要 |
(1)産業連関分析 : 既存統計を用いて小地域単位の産業連関表を推計する手法であるノンサーベイ法に関する研究の近年の動向を調査した. その中でも近年注目を浴びているLQ法は, 実証研究が数少なく, また日本での適用は皆無であることから, 本研究では我が国の産業連関表に適用しその推定精度の評価を行った. 実証分析の結果, 他国で適用された既存研究の結果と比較しても概ね一致する精度が得られ, LQ法の有用性を確認することができた. ただしLQ法は、地域内産業連関表の推定を目的としている方法論のため、地域間の交易を推定することが困難である。したがって、小地域における地域間産業連関表を推定する際には別途何らかの方法論を用いる必要性がある。 (2)産業クラスター分析 : 産業が集積, または特化している地域を抽出するための指標に関する研究のレビューを行った. 古典的な指標では, 地域内での集積の有無を確認するものが多く, 地域単位を越えた空間的に広範囲の集積や特化の存在を抽出することができない. そこで本研究では, 空間的な相関や異質性を検定する種々の局所空間統計量を我が国の製造業従業員数データに適用し, 局所空間統計量による産業集積地域の抽出法の可能性を検討した. その結果、複数の統計量を組み合わせることで、空間的な集積や特化の存在する地域を多角的に捉える可能性が示唆された.
|