小地域単位の産業連関表を作成する際の方法として近年LQ法が注目を浴びているが、地域間の交易を推定することが困難であった。そこで昨年度より、統計モデルをベースとしたフローの空間詳細化の方法論の開発を行い、本年度はこのモデルの更なる高度化を行った。具体的には、フロー行列の列和と行和が既知のときに、モデルで予測した各々の値の和がこの既知の値と合致するような制約を設けた。実際のデータにこの手法を適用した結果、予測値はこの制約を必ず満たすことが確認された。 また、この方法論のベースとなっているモデルは、データの空間的な関係性を十分に考慮できていないことから、空間計量経済学の枠組みでモデルを発展させる試みを行った。ただし、適用するデータが人口移動等のトリップ数であるとき、データ生成過程を離散分布と仮定して扱う必要があり、この場合のモデル化には、現時点で確立された理論および方法論がないことには十分留意することが必要である。
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