研究概要 |
筋力補助装具スマートスーツ・ライトはの張力のみを利用し, 装着者の姿勢変化に伴い発生する弾力性により身体負担を軽減する装具である. この装具の補助効果は腰部の関節を伸展させるような力による筋力補助効果と, 体幹周りを締め付けてコルセットのように腰部の支持性を増加させる体幹安定化効果の二つに分けることが出来る. このうち体幹安定化効果は軟性コルセット等により姿勢の安定性が向上することや, 椎間板負荷が減少することが先行研究で実験的に示されてきた, しかし, 締付力とその効果を解析した装具設計はこれまで行われて来なかった. 本研究では動作計測により体幹安定化効果を非侵襲かつ定量的に評価し, 腰部への締付力と体幹安定性のモデル構築とその装具設計への応用を目的とする. 2年計画のうち, 初年度に当たる今年度は, 体幹安定化効果による体幹の剛性変化に着目し, 次の項目を実施した. 1)スマートスーツ・ライト着用時の動作計測実験を行った. その結果, 腰部屈曲姿勢維持時において装具着用により姿勢安定性は維持または向上していることが確認された. 2)動作計測による関節剛性の推定実験と, その結果を用いた関節剛性のモデル化を行った. 腰部の関節剛性は体幹筋活動と腰部周りの締付力を用いたモデル式により推定できる可能性があることを示した. 3)関節剛性と体幹安定性の関係を動作計測により検証した. 関節剛性の推定値と腰部前屈角度の標準偏差は負の相関関係にあり, 関節剛性により体幹安定性を表すことの妥当性が示された. 以上から, アシスト装具着用による体幹安定化効果の定量的な推定とシミュレーションのための腰部関節剛性のモデル化手法を提案した.
|