研究課題
残留性有機汚染物質である有機フッ素化合物(PFAAs)は、胎児期曝露による出生後の児への免疫アレルギーへの影響が懸念されている。炭素鎖の長いPFAAsは、生物蓄積性が高く半減期が長いと報告され、近年ヒト血中濃度が上昇しているが、健康影響については不明である。そこで本研究では、長鎖の物質を含むPFAAsの胎児期曝露が乳幼児期のアレルギー症状発症に及ぼす影響を検討した。対象者は、2003年~2009年に前向きコホート研究「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ」に登録し、ベースライン時調査票、妊娠後期の血液検体、医療診療録、追跡調査票が揃う2062名である。曝露評価は、超高速クロマトグラフィータンデム質量分析装置を用いて妊婦の血漿中PFAAs 11物質(PFHxA、PFHpA、PFOA、PFNA、PFDA、PFUnDA、PFDoDA、PFTrDA、PFTeDA、PFHxS、PFOS)の一斉分析を行った。アウトカムは、2歳時の調査票からアレルギー症状を評価した。交絡因子を調整した多重ロジスティック回帰分析を行った結果、PFTrDAの湿疹発症オッズ比は量反応的に低下した (p for trend = 0.005)。男女に層別化すると、女児のみでPFUnDA、PFTrDAに有意な関連を認め、PFTrDAの第1四分位に対する第4四分位のオッズ比は、0.39 (95%CI: 0.23, 0.64) (p for trend = <0.001)だった。PFAAsの胎児期曝露が出生後の児の免疫発達を抑制した結果として、アレルギー症状の発症リスクが低下した可能性が考えられる。また長鎖のPFAAsは女児の免疫機能に対して性特異的に影響を及ぼす可能性が示唆された。近年PFAAsの曝露評価およびリスク評価が喫緊の課題となっていることから、本成果が公衆衛生上有用なエビデンスとなることが予測される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Environment International
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10.1016/j.envint.2014.01.007
北海道医学雑誌Best Articles of the Year
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