研究実績の概要 |
平成26年度の研究では,エッジリサンプリングの利点を保ちつつ推定量の評価を行うため,ポアソン分布を利用したブートストラップ法(ポアソンブートストラップ)を提案した(申請書における研究内容 2,研究発表1, 2, 3).この方法では,エッジ集合をリサンプリングしてブートストラップ標本を生成する代わりに,各ノードペアに対してポアソン分布から独立にエッジを生成してブートストラップ標本とする.この方法は,元のエッジリサンプリングにおいてリサンプリング数をポアソン分布に従ってランダムに決めていると解釈することができるため,エッジリサンプリングにおける一致推定量はポアソンブートストラップでも一致推定量となる.また,ポアソンブートストラップの計算コストは通常のリサンプリングと同じであり,容易に並列化可能である. ポアソンブートストラップによって求められる推定量の性質を調べるため,いくつかの確率グラフモデルおよび統計量についての漸近的性質を導いた(研究内容2,研究発表2, 3).具体的には,Erdes-Renyi (ER) モデルのポアソン極限における総エッジ数の平均・分散,部分エッジ数の平均・分散,次数の平均・分散,Generalized Random Graph (GRG) モデルのポアソン極限における総エッジ数の平均・分散および Stochastic Block Model (SBM) のポアソン極限における総エッジ数の平均・分散について,ポアソンブートストラップを使って求めた推定量が元の推定量に対して一致性を持つことを示した.また,クラスタ係数について,ER モデルの下でブートストラップ分散が一致性を持つことがシミュレーションにより確かめられた.
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