研究概要 |
音響キャビテーション場における複素音場・気泡粒度分布同時計測のための基礎検討として, 音響キャビテーションを伴わない定在超音波のレーザビームを用いる計測法の確立を目的に研家を遂行した. その結果, 提案手法によって10^1kHzオーダの1次元定在超音波の計測が可能であることを示した. まず, 超音波によって水中に形成される圧力分布をレーザビームを用いて計測する実験系を構築した. 計測実験に用いる1次元定在超音波を生じさせるための水槽を作成し, フーリエ反復位相回復法によって水中に形成した1次元定在超音波に入射したレーザビームの波面を計測した. 同時にハイドロフォンによるリファレンス計測を行った. その結果, 音圧の腹では超音波の周期でレーザビームの波面が湾曲し, 音圧の節ではレーザビームの波面が傾斜することが分かった. この結果は1次元定在波の圧力分布の振る舞いと一致しており, 提案手法によるレーザビームの波面計測が可能であることが示された. 次に, フーリエ反復位相回復法で計測した超音波場を通過したレーザビームの波面から定在超音波の振幅を求める方法を確立した. フーリエ反復位相回復法では, 計測領域内での相対的な光の波面しか計測できないため, 絶対的な圧力分布を計測することはできない. このため, 波面の曲率と傾斜率から1次元定在超音波の音圧振幅を求める理論式を導いた. 理論式の妥当性を確かめるために, 提案手法とリファレンスとなるハイドロフォンによる19.2kHzの1次元定在超音波の計測を行った. その結果, 提案手法とハイドロフォンによる計測の結果はよく一致しており, 提案手法によって1次元定在超音波の音圧振幅が計測できることが示された. 以上によって, 10^1kHzオーダの1次元定在超音波の計測法を確立した. 以上に加えて音響キャビテーションを伴う水中におけるレーザビームを用いる音場の計測についても検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
25年度に予定していた, レーザ光を用いる音響キャビテーションを伴わない水中に形成された1次元定在超音波の計測法の確立を実現した. これに加えて, 26年度に予定していた音響キャビテーションを伴う水中に形成された音場の計測にっいて検討を行った. このため, 本研究は当初の計画以上に進展していると考える.
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