研究課題/領域番号 |
13J02053
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
平川 真 広島大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 間接的要求 |
研究概要 |
本研究の目的は、間接的要求が多用される日本において、間接的要求を使用し、それを察することが果たしている対人的機能を検討することである。本研究の中心的な仮説は、間接的要求を使用し、察することによって、要求を承諾する行動が自発的援助という要求の承諾よりもポジティブな対人的効果をもたらす行動に意味づけられるというものである。本研究は上記の仮説の妥当性を検証することを通して、なぜ日本において間接的要求が使用され、また、理解されやすいのかについての説明を提供する。 25年度では、間接的要求の承諾が自発的援助として捉えられ、相手が自分のことを大切に思っていると解釈されることを、大学生サンプルと一般サンプルで明らかとした。この結果は、本研究の仮説の根幹を支持するものである。なぜ日本において間接的要求が使用されるのかを「友人が自分のことを大切に思っているかどうかを判断するため」という観点から説明することができる可能性が示された。 また、間接的要求の非承諾については、他の要求と同じく、拒否として解釈されることが示され、間接的要求の隠れた要求の意味を察することができないと対人的にネガティブな帰結が生じることも示された。間接的要求を承諾することはポジティブな帰結を生み、承諾しないことはネガティブな帰結を生むという結果からは、隠れた要求の意味を察することに聞き手にとってのメリットがあることが示唆される。したがって、なぜ日本において間接的な意味を察することが多いのかを、聞き手にとつてのメリットの観点から説明することができる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、間接的要求が対人関係に及ぼす影響の検討は2年目に行う予定であったが、初年度に前倒しして実施した。当初、初年度は間接的要求の承諾行為あるいは非承諾行為の解釈について、認知心理学的実験を行うことにより、個人内の情報処理過程を検討する予定であったが、この検討は2年目に行う。予定と研究の順序が入れ替わったが、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
達成度評価にも書いたとおり、当初と研究の順番を入れ替えた。そのため2年目では、初年度実施予定であった、個人内の解釈過程についての検討を行う。
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