研究実績の概要 |
今回の研究では非局所演算子としてインターフェースの上に埋め込まれたトフーフト演算子について調べた。この演算子は超弦理論側では数枚のD1 ブレーンとして記述できる。多数のD3 ブレーンが重なった系にこのD1ブレーンが端を持つように入れるとD1ブレーンはこのD3ブレーンの世界体積上の磁場と見る事ができる。N枚のD3ブレーンが重なった世界体積上に実現されるゲージ理論はゲージ群SU(N)を持った非可換ゲージ理論になるが、その上に存在する磁荷はYoung 図で表され、それはトフーフト演算子の表現に相当する。この系ではD1 ブレーンの枚数が磁荷、Young 図でいうと箱の数に対応している訳であるが、一般に箱の数を決めてもそれに対応するYoung 図は複数構成できる。こういったことから弦理論側のブレーンの図からは見ることが難しいブレーンの詳細な情報がこのYoung図の表現により調べられるのではないかと期待できる。ここではトフーフト演算子を含んだD5ブレーンをプローブとしてD3-D5系を発展させた系からトフーフト演算子を調べることを考えた。 結果、D3ブレーン上の磁場を積分する事によって得られるチャージとYoung図を構成する箱の数に確かに対応がつけられる事を確かめた。 さらにAdS/CFT対応についての検証を進めるため、次のようなゲージ理論を考えた。ゲージ理論をリーマン面上にコンパクト化した理論が最近活発に研究されている。例えばBeniniたちは中心電荷の計算をリーマン面にコンパクト化した理論において計算している。私はこの理論においてリーマン面上に境界がある場合への一般化を試みた。 そして超対称性がN=(2,2)という場合において't Hooftアノマリーとの関係から中心電荷を求める事に成功した。また境界条件としてGaiottoとWittenが提案したNS5-境界条件がリーマン面の境界においても可能である事を確認した。
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