研究課題
合成高分子材料の性質はモノマーユニットの組成や立体構造に依存する。従って,モノマーの組成や立体構造を精密に制御することができれば新たな特性を有する高分子材料を合成できると期待される。中でも,性質の異なる複数のモノマーを重合した共重合体は単一のモノマーからなる重合体と異なる物理物性を示すことが知られている。複数種類のモノマーユニットの配列を制御するためには重合反応に高い特異性が求められる。しかし,三種類のモノマーすべてに高い特異性を組み込むことは非常に困難である。そこで我々はこの課題を解決する手法として分子認識を用いることを考えた。我々の研究室ではビスカリックス[5]アレーンとフラーレン,ビスポルフィリンとトリニトロフルオレノンが非常に高選択的に包接錯体を形成することを見出している。また,ハミルトンらはハミルトン型レセプターが水素結合によりバルビツール酸誘導体と包接錯体を形成することを報告している。我々はこれら三種類のホストゲスト錯体に着目し,三つのホスト部位とゲスト部位を別々に組み込んだ三種類のモノマー分子を合成した。溶液中での超分子ポリマー生成を確認するため濃度別粘度測定を行った。その結果,それぞれ独立に溶かした溶液及び二種類混合した溶液の粘度は濃度を10mMまでの範囲でほとんど変化が見られなかった。ところが,三種類混合した溶液の粘度は濃度10mMで大きく上昇した。この結果から主鎖に三種類のモノマー分子の繰り返し配列構造を有する一次元の超分子ポリマーの生成が示唆された。固体状態における超分子ポリマーの生成確認のため、原子間力顕微鏡を用いた直接観察を行った。三種類のモノマーを混合した溶液を基盤の上にキャストし,観察したところ,一次元鎖の配列したポリマー様の組織が見られたことから、基盤上で超分子ポリマーの形成が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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