研究課題
本年度は、昨年度作成したスマートフォン上での症状予測アルゴリズムを用いた詳細な縦断的観察研究を行ない、次いで症状に応じたフィードバックシステムを構築し、自身の日々の症状把握を行わすことによる3ヶ月間(短期)のセルフケア支援の効果検証を行なった。まず、RA外来患者10名を対象とし、上記アプリケーションを搭載したスマートフォンを3ヶ月間携帯させ、日々のmHAQ (modified health assessment questionnaire)、疼痛関節数、歩行の左右対称性データを縦断的に取得し、DAS28予測モデルを縦断的に算出した。そして、DAS28予測モデルをスマートフォン上でフィードバックするシステムを構築し、RA患者に自身の症状を日々モニタリングさせた。一方、1ヶ月毎の通院時に血清データ等を取得し、DAS (disease activity score)28を計測した。そして、DAS28予測モデルと通院時のDAS28の縦断的な妥当性の検証を行なった。縦断的観察の結果、DAS28予測モデルとDAS28は縦断的観察においても概ね高い相関関係を示したが、通院時のDAS28値が高い場合は、縦断的な予測精度がやや低くなることが分かった。フィードバックシステムに関しても、対象者から良好な反応が得られた。続いて、RA患者30名を対象に、無作為にスマートフォン介入群10名、紙介入群10名、対照群10名に群分けし、3ヶ月間のセルフケア支援の介入効果を検証した。スマートフォン介入群には前述のDAS28予測モデル算出・フィードバックシステムを介入として行い、紙介入群には紙による症状観察を行ない、対照群には特別な介入は行わなかった。各群の3ヶ月後のDAS28の値や日々の症状のバラツキの程度を比較したところ、有意な介入効果は得られなかった。
2: おおむね順調に進展している
昨年度開発した関節リウマチ患者の症状予測アルゴリズムの開発を用いた縦断的な妥当性検証を行ない、それを応用した3ヶ月間のセルフケア支援の介入効果検証を行なっている。
今後の推進方策は,引き続き関節リウマチ患者を対象に、6ヶ月間(長期)のセルフケア支援の効果検証を行なう。また、慢性閉塞性肺疾患 (Chronic Obstructive Pulmonary Disease: COPD)といった他の慢性炎症性疾患患者に対するセルフケア支援法を検証する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件)
Journal of the American Medical Directors Association
巻: 16 (2) ページ: 120-124
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Journal of Clinical Gerontology and Geriatrics
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Journal of the American Geriatrics Society
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