研究課題/領域番号 |
13J02174
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
ヤマシタ ホドリーゴ ケンジ 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | スマートストラクチャ / 光ファイバセンサ / ブリルアン散乱 / 温度と歪の分布測定 |
研究概要 |
理論的な研究において、相関領域法によって局所発生された誘導ブリルアン散乱(SBS)の空間的な広がり、またその広がり方とブリルアンダイナミックグレーティング(BDG)スペクトルの形状がフーリエ変換に近い関係が成り立つことがわかった。これにより、本研究が扱っているシステムの出力をシミュレーションできるようになる基礎が固まった。 一般的に本研究が扱っているBOCDA(ブリルアン光相関領域解析法)というシステムは限られた測定レンジにおいて高い分解能を誇っている。しかし、社会のインフラの安全性を診断するためには、十分な測定レンジにおいて温度と歪の分布測定が要求されている。そのため、応用を考えれば、BOCDAの測定レンジを格段に伸ばすテンポラルゲート法という手法が欠かせない。この手法の実験的な効果が既に発表されているが、シミュレーションや理論的な議論によるパラメータの最適化などはなされていなかった。テンポラルゲート法を理論的に記述するために、光波に複数の変調を施した場合のシステム出力のシミュレーション方法を提案し、テンポラルゲート法の最適化を行った。今後、強度変調によるアポダイゼーション、位相変調による背景雑音の除去など、BOCDAに付随する技術を考案した手法により記述し、システムの最適をさらに行う運びとなっている。 BDGスペクトルを分布的に取得するにあたり、SBSを発生している光とBDGを観測する光に同様の変調を印加することが原則である。そのため、両光の被測定ファイバまでの光路を一致させる必要があり、この条件を調査した。その結果、測定系の空間分解能が高いほど条件が厳しく、究極の性能を実現するために、この条件も満たされるようなシステム構成を考案する必要があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システムの出力を完全にシミュレーションにより導出する方法が未完成であるが、それを可能とする理論的な裏付けができている。複数の変調を印加した場合の理論も進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
今後シミュレーション方法の確立に向けて研究を続けると共に、実験的にシステムの性能を高めていく必要がある。さらに、企業と連携を取って光ファイバだけでなく、実際にコンクリートなどに沿っての歪や温度の測定も行っていく予定である。前述の通り、測定系においてBDGを形成する光とスペクトルを観測する光の光路合わせ問題も解明されて、それへの対応が当初になかった課題である。しかし、おおむね研究計画の変更を行わず、以前の計画に並行してこの問題にも取り組む。
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