研究課題/領域番号 |
13J02182
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安井 大輔 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | エスニシティ / 階層 / 食 / 移民 / 文化接触 / 接触領域 / 沖縄 / ラテンアメリカ |
研究概要 |
今年度は、差異を生み出し社会的な排除の指標となるエスニシティと階層をめぐって研究を進め、口頭発表と論文発表を行った。 1. 階層をめぐる研究として、社会学の階層研究において個人や世帯の階層を示す代表的な指標である所得をめぐって、共同研究を行い、「グローバル・シティと賃金の不平等―産業・職業・地域」という論文を発表した。社会学者サスキア・サッセンによる『グローバル・シティ』では、グローバル化による世界の大都市への機能集中と産業構造の変換が進むと上層専門職と下層サービス職への職業が分化され、その結果、所得の二極化が進み、格差が拡大するという。この議論を敷術すれば、グローバル化が進んだ都市圏ほど二極化が進んでいることになるが、本当にそうなっているのだろうか。この格差の実態を計測するために、国勢調査と賃金構造基本調査のデータを用いて、都道府県ごとの産業・職業の構造と賃金格差を検討した。 2. エスニシティに関しては、横浜市鶴見区にある多文化混清地域における移民の食を介したエスニックな文化の世代間の継承について口頭発表を行った。横浜市鶴見区は、京浜工業地帯の一部として発展してきた歴史をもち、戦前から大日本帝国の周縁地域であった沖縄、朝鮮半島から多数の移民を吸収してきた。のちに1980年代後半以降は沖縄系の出自をもつ南米諸国出身の沖縄・日系移民が来日するようになり、現在は沖縄とラテンアメリカにルーツをもつ人びとが多数共在する文化接触領域となっている。筆者は、この地域において参与観察とインタビューを中心とした調査を継続している。その結果に基づき、沖縄や南米からの移民の母文化がいかにして新しい土地で生まれ育った移民二世に継承されていくのかを家庭の食の場面を例に詳述した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度はエスニシティに関する研究をエスニシティ研究のさかんなアメリカで報告することができ、開放的な研究ネットワークを構築することにもつながった。またもう一つのテーマである階層についても、共同研究の成果を査読雑誌に発表することができた。研究モチーフの両輪にあたるテーマの双方で成果を出すことができ、その意味で、当初の期待以上の進展があったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はさいわいにも調査で得られた結果を論文や海外の学会で発表する機会に恵まれ有益なコメントを受けることができた。今後はさらにデータの分析と考察を深めたうえで論文にまとめて査読雑誌に投稿し、広く研究成果を世に公開していく予定である。
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