平成27年度は、貨幣移転が可能な状況での望ましいマッチングルールの研究を主に行った。本研究では、「耐戦略性(各個人に正直に選好を表明させるための条件)」、「効率性」、「個人合理性(各個人の自発的参加を促すための条件)」、および「非補助金性(マッチできなかった個人やマッチしたペアが他者から補助金をもらわないことを要求する条件)」などの望ましさの基準を満たすマッチングルールとコアとの関係性について検討し、特に今年度はこれまでより緩い選好ドメインの条件や設定の下で不可能性定理やルールの特徴付けの検討などを行った。さらに、この研究を当該研究分野の国際学会の一つであるConference on Economic Design 2015において報告した。また、昨年度に採択された芹澤成弘氏(大阪大学)との共同論文であるStrategy-proofness and efficiency with non-quasi-linear preferences: A characterization of minimum price Walrasian rule(入札者の選好に所得効果が存在する状況において、最小価格ワルラス均衡ルールの「耐戦略性」、「効率性」、「個人合理性」、および「敗者への非補助金性」の基準による特徴付けを行った研究)が理論経済学分野の査読付き学術誌Theoretical Economicsから今年度公刊された。
|