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2013 年度 実績報告書

「創世記解釈史研究-古代・中世のキリスト教・ユダヤ教による解釈の系譜と影響史」

研究課題

研究課題/領域番号 13J02292
研究機関同志社大学

研究代表者

大澤 香  同志社大学, 神学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード聖書神学 / 聖書解釈史 / 初期ユダヤ教 / 聖霊 / 天使 / 異邦人 / キリスト教
研究概要

キリスト教成立期のユダヤ教とキリスト教が互いの影響を受けつつ自らを確立していったことを、「解釈史」の視点から明らかにし、聖書解釈の方法論の再構築を目指す本研究において、当該年度は以下の研究内容を実施した。
1. 外典トビト記の研究と聖書解釈における物語論的アプローチの意義の提示 ;
初期ユダヤ教(キリスト教成立の背景となる時期)の文献である外典トビト記を考察対象とし、この時期に発達したと考えられる「御使い・天使」の表象に焦点をあて、ディアスポラのユダヤ人の歴史的状況を想定しつつ、ヘブライ語原典と翻訳後の「読み」について段階的に考察した。同時に、実際に「物語」として読まれてきた「読み」の姿を示すことを通して、我々の読みの現代的意味を再提示した(その成果を『旧約学研究』第10号にて発表した※下記13参照)。
2. 「聖霊」の系譜と初期ユダヤ教・キリスト教における異邦人理解の研究 ;
1の研究成果(初期ユダヤ教時代の読みの下地にヘブライ語聖書の物語(伝承)があること、ディアスポラのユダヤ人と異邦人との関係が聖書解釈に影響を与えていること、それらの聖書解釈およびそこでの天使などの形象がキリスト教の成立および聖書解釈に影響を与えていること)を受け、天使の形象を生み出したと考えられる「霊」の概念の歴史的変遷と、キリスト教成立期のユダヤ人の間で重要な表象であったことが考えられる「聖霊」の概念の発達とキリスト教における異邦人宣教の関係を調査した。その際、「聖霊」への頻繁な言及が見られるクムラン文書、キリスト教の異邦人宣教に関して重要な場所について、現地イスラエルにて調査・資料収集を実施した。(研究結果を「日本基督教学会近畿支部会」にて発表した※下記13参照)。
3. 聖書解釈の歴史に重大な転機を与えた宗教改革を立体的に捉えるために、スイス・ドイツにおけるフィールド・ワークおよび研究者諸氏との交流・意見交換を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究計画に基づき、ユダヤ教文献(ヘブライ語聖書、ギリシャ語訳聖書、クムラン文書、外典・偽典)およびキリスト教文献(新約聖書)の解釈を比較分析し、海外における調査・資料収集の成果と共に、その研究成果を論文および学会において発表した。

今後の研究の推進方策

これまでの研究において明らかになった点を、更に深め、かつ体系的に整理し、博士論文として完成させる。
また、本年度実現した海外の研究者との交流や情報交換を更に進め、インタヴュー等の成果をまとめ、発信する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] トビト記における『統合』と『癒し』への希望―物語を読むことから生まれる力2013

    • 著者名/発表者名
      大澤 香
    • 雑誌名

      旧約学研究

      巻: 第10号 ページ: 19-37

  • [学会発表] 「聖霊」の系譜―初期ユダヤ教・キリスト教における異邦人理解とルカの用法―2014

    • 著者名/発表者名
      大澤 香
    • 学会等名
      日本基督教学会近畿支部会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2014-03-28

URL: 

公開日: 2015-07-15  

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