研究課題
平成26年度はin vivoでのFoxC1の役割の解明を行った。そのために、DNA結合領域であるForkheadドメイン内の122番目のアミノ酸残基が点変異により終止コドンへと変異した、FoxC1遺伝子自然発症型変異マウス(FoxC1chマウス)の解析を行った。野生型マウスおよびFoxC1chマウスの骨格標本を作製した結果、FoxC1chマウスでは低身長、四肢の短縮が明らかとなった。さらに、胎生15.5日齢の脛骨を用いてISH法により軟骨基質遺伝子の発現を検討したところ、FoxC1chマウスではCol10a1遺伝子陽性肥大化軟骨層が短縮していた。これらの結果より、FoxC1chマウスでは野生型マウスに比較して内軟骨性骨形成が遅延していることが明らかとなった。次にFoxC1chマウスが内軟骨性骨形成の遅延を呈する分子メカニズムの解析を行った。そこでFoxC1chマウスおよび野生型マウスの脛骨よりRNAを採取しこれら遺伝子の発現をRT-qPCR法により検討した結果、FoxC1chマウスではPTHrPおよびCol10a1遺伝子の発現が低下していた。Col10a1遺伝子発現の減少はFoxC1chマウス由来初代培養軟骨細胞においても認められた。以上の結果より、顎顔面骨格形成を担う内軟骨性骨形成過程においてFoxC1は、Ihhのシグナル伝達分子Gli2と協調的に作用することによりPTHrPおよびCol10の発現を促進することが明らかとなった。さらに昨年度の研究において、顎顔面形態異常や歯の形成異常を示すAxenfeld-Riegar症候群で報告されている変異型FOXC1(F112S)においては、Gli2との協調的作用が減弱していることが明らかとなった。本研究より、顎顔面骨格形成におけるFoxC1の重要性とその分子メカニズムが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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NATURE COMMUNICATIONS
巻: 6:6653 ページ: 1~15
10.1038/ncomms7653