研究課題
今年度は,以下に示す2種類のランダム変異導入系をビフィズス菌において確立した.1. TLS143を用いたビフィズス菌のランダム変異導入系の確立:Bifidobacterium longum由来の転移因子TLS143を用いてビフィズス菌ゲノムへのランダム変異導入を行った.はじめに,TLS143の転移酵素を発現可能なベクターをB. longum 105-Aに導入した.その後,作出した株にTLS143のトランスポゾンを含むベクターを導入した.結果として,トランスポゾンがゲノム上に転移したB. longum株を最大10の3乗 CFU/μg DNAの効率で取得できた.トランスポゾンはB. longumゲノム上の様々な部位に転移していた.以上の結果より,これまで困難であったビフィズス菌のランダム変異導入系を開発することに成功した.さらに,上記の実験系により取得したα-グルコシダーゼ遺伝子欠損株の性状を解析した.その結果,今回欠損したα-グルコシダーゼ遺伝子はB. longumのパラチノースおよびトレハロースの資化に重要な役割を担っていることが示された.これはビフィズス菌の消化管内生存戦略を理解する上で重要な知見になると考えられる.2. Himar1を用いたビフィズス菌のランダム変異導入系の確立:種々の細菌種の変異導入系に応用されている転移因子Himar1(ノサシバエ由来)を用いてビフィズス菌ゲノムへのランダム変異導入を行った.はじめに,Himar1のトランスポゾンと転移酵素遺伝子を連結した温度感受性複製ベクターをB. longum 105-Aに導入した.その後,この株内でHimar1の転移酵素を恒常的に発現させた.その結果,Himar1のトランスポゾンがゲノム上に転移したB. longum株を取得することに成功した.Himar1はビフィズス菌のランダム変異導入に有用であることが示された.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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