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2013 年度 実績報告書

生体遺伝子導入法によるマイクロRNA let-7の中枢神経系における機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 13J02346
研究機関京都大学

研究代表者

渡邉 哲史  京都大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードマイクロRNA / let-7 / 生体エレクトロポレーション / アデノ随伴ウイルス(AAV) / 網膜 / 遺伝子治療
研究概要

マイクロRNA機能抑制技術であるマイクロRNAスポンジに着目し、中枢神経系に豊富に発現しているマイクロRNA let-7の生体遺伝子導入法により機能抑制することで、中枢神経系におけるlet-7の機能とそのメカニズムを明らかにすることを目的とした。
中枢神経系モデルである網膜を用いてlet-7に対するマイクロRNAスポンジを導入しlet-7機能抑制実験を行った。その結果、ある種のアマクリン細胞の発生異常を見出した。他の網膜細胞におけるlet-7の機能解析を進めるため中枢神経系に高い導入効率を示すアデノ随伴ウイルス(AAV)による導入法に着目した。MVはキャプシドの違いから主に12種類の血清型が知られており、それぞれ標的細胞種が異なることが知られている。そこで、中枢神経系において感染することが知られていたMV1,2, 5,8, 9,10の7種類の血清型について、ユビキタスプロモーター下でmCherryを発現するAAVを作製し、網膜における感染パターン及び感染効率を定量的に調べた。その結果、AAV5は錐体視細胞にAAV10は水平細胞及び神経節細胞へ非常に効率よく導入できることが明らかとなった。生体エレクトロポレーション法ではこれらの細胞種への遺伝子導入が困難であることから、AAVを用いることでこれらの細胞種について遺伝子機能解析を行えることが考えられた。網膜におけるAAVによる遺伝子導入法が有効性を示すため、網膜変性モデルマウスであるCrx欠損マウスへCrxを発現するAAV5 (AAV5-Crx)を導入するレスキュー実験を行った。Crx欠損マウスで見られていた視細胞の変性、形態異常及び網膜機能異常がAAV5-Crxの導入により有意に回復することが明らかとなった。この結果は視細胞の発生異常を伴う比較的重篤な網膜変性症の遺伝子治療の実現可能性について重要な知見となるものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

7種類のAAVの感染パターンを定量的に調べ、その有用性を明らかにしたことで、様々な網膜細胞種におけるlet-7の機能解析を進めるに必要な技術を確立することができたため。

今後の研究の推進方策

let-7スポンジを発現する血清型5及び10のAAVベクターを作製する。このAAVベクターを用いてlet-7の機能抑制をした網膜を用いて、免疫染色(抗S-opsin抗体、抗M-opsin抗体、抗Calbindin抗体、抗Brn3b抗体等)による組織学的に表現型の解析を進める。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Tropisms of AAV for Subretinal Delivery to the Neonatal Mouse Retina and Its Application for In Vivo Rescue of Developmental Photoreceptor Disorders.2013

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Watanabe, Rikako Sanuki, Shinji Ueno, Toshiyuki Koyasu, Toshiaki Hasegawa, Takahisa Furukawa
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 8 ページ: e54146

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0054146

    • 査読あり
  • [学会発表] Tropisms of AAV for Subretinal Delivery to the Neonatal Mouse Retina and Its Application for In Vivo Rescue of Developmental Photoreceptor Disorders, アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの血清型による網膜標的細胞の特異性の比較と網膜変性症モデルマウスのレスキューへの応用2013

    • 著者名/発表者名
      渡邉哲史、佐貫理佳子、上野真治、古川貴久
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2013-12-05
  • [学会発表] Tropisms of AAV for Subretinal Delivery to the Neonatal Mouse Retina and Its Application for In Vivo Rescue of Developmental Photoreceptor Disorders.2013

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Watanabe, Rikako Sanuki, Shinji Ueno, Takahisa Furukawa
    • 学会等名
      ARV02013
    • 発表場所
      アメリカ合衆国、シアトル
    • 年月日
      2013-05-07
  • [備考] 大阪大学ホームページ :

    • URL

      http://reson.osaka-u.ac.jp/ja/research/2013/20130116_1

  • [備考] 古川貴久研究室ホームページ :

    • URL

      http://www.protein.osaka-u.ac.jp/furukawa_lab/

URL: 

公開日: 2015-07-15  

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