研究課題/領域番号 |
13J02357
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
林 幹大 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 超分子ソフト材料 / 水素結合 / 配位結合 / 超分子ネットワーク / ABAトリブロック共重合体 |
研究概要 |
研究課題として申請した「複合架橋型ネットワークを有する超分子ソフトマテリアルの創成」については、申請時は共有結合と水素結合が共存する複合架橋型ネットワークの調製を目指していた。しかしながら、共有結合形成後の分子キャラクタリゼーションが困難である等の理由から、共有結合の結合力と匹敵する強さを有する配位結合性架橋との複合架橋型ネットワークを用いることとして研究を進めた。 複合架橋ネットワークを調製する目的としては、従来指摘されてきた超分子ソフト材料の材料強度の低さを改善するためである。このような網目構造に応力が加えられた場合、より弱い結合力の架橋種が優先的に破断ざれるため、印加された応力が分散しやすく、ゆえにより大きな応力の印加が可能になると考えられる。具体的には、配位結合性官能基を有するA成分と、水素結合性官能基をランダムに導入したB成分からABAトリブロック共重合体を合成し、これと金属塩とをブレンドした。それによりA成分と金属イオン間で配位結合を形成させ、且つB成分に導入した水素結合性官能基に自己相補的な水素結合を形成させた複合網目構造の構築をさせた。 これまでも非共有結合性架橋による超分子ネットワーク材料(ゲル・エラストマー)の報告はあり、刺激応答性や自己修復能など特徴的な材料特性が報告されてきた。一方で、非共有結合の弱さゆえに、単一の非共有結合架橋では機械的強度が小さく、その実用応用は限定的であった。本研究では単一の非共有結合種ではなく、二種類の非共有結合種をネットワーク形成に用いているという点が特徴的であり、類似した報告例は過去にほとんどない。それゆえ、当該研究分野における新しい材料設計指針となり得、その点で学問・応用両面での重要性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在行っている研究の分子設計は、申請した研究課題のそれと若干異なるが、研究の目的からそれてはいない。これまで報告例がないような分子設計を創造し、それに由来した材料特性が現れてきている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題を進めていぐ課程で、興味深い材料特性が観察された。それは自己修復能であり、これまで高強度を有するソフト材料でそれを達成した報告例はほとんどない。これに関してより詳細な実験・解析を行っていこうと考えている。
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