研究課題/領域番号 |
13J02406
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田辺 理 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員DC2
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キーワード | ガンダーラ / トーリトーン / 生天思想 / エトルリア |
研究概要 |
【研究目的】 本研究の目的は、ガンダーラの仏教美術(前2世紀~後4世紀)に見られるトリートーンなどの一見では仏教と関連があるか否かわからない図像が、実は上座部系の部派仏教徒の生天思想(三十三天など死後天界に再生する来世観)をギリシア、ヘレニズム、ローマの葬礼美術の図像を借用して描写したものであることを実証することである。 【研究方法】 上記の研究目的を達成するために、エトルスク美術(前3~2世紀)及びローマ美術の石棺の図像データが極めて不十分である事に気づいたので考察を行った。石棺には、死後の世界に関係深いギリシア神話のトーリトーンが頻繁に描写されている。一方、ガンダーラの仏塔階段の装飾にその図像が用いられているのでそれらの図像学的考察を行った。 【研究成果】 11月中旬から11月下旬まで、イタリアにおいて調査を行った。ローマでは、ヴィラ・ジュリア・エトルスク博物館やバチカン博物館、ローマ国立博物館などを巡り、さらに近郊のタルクィニアまで行き、博物館を訪れ、作品の写真撮影を行った。また、オスティアの遺跡に行き、トリートーンやイクティオケンタウロスのような海獣を表現したモザイクの写真撮影を行った。ナポリでは、考古学博物館、エルコラーノ、ポンペイなどの遺跡を訪れた。特に、エルコラーノ遺跡ではトリートーンのモザイクの写真撮影を行うことができた。また、フィレンツェでは考古学博物館に行き、エトルリアの墳墓の復元や、トリートーンを表現した浮彫の調査、写真撮影を行った。そして、これらの写真を用いて、3月初旬に早稲田大学美術史学会の春季例会において口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、イタリアの諸博物館や遺跡において調査を実施できただけでなく、その成果を早稲田大学美術史学会の春季例会において発表できたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究計画書にも記載したように、7月にストックホルムで開催される第22回南アジア考古学美術史学会(The European Association for South Asian Archaeology and Art, 22^<st>)でイタリア調査の成果を発表し、論文を執筆して投稿する予定である。 ストックホルムの学会については、既に発表が内定済みであり、成果を出すことが可能なので、研究計画の変更や問題点は特にない。
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